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今まで感じたことのないあの青年の憎悪に燃えた緑の瞳を思い出し、ナズナは悲しくなった。
もしも次に彼と邂逅したら、一度話し合って彼の口からも真実を聞いてみたいと思うが…。灯台内部に響く歌声を聴きながらナズナはやるせない思いを抱きつつ身体を休めた。
*
ナズナ達が灯台内で休息を取っている同時刻。
リュウシンの故郷――
リェンハイは水妖族の特徴でもある瑠璃色の髪を襟足の所で一つに結び、緑を基調とした服装を纏っていた。彼は王族の血筋なので、瑠璃色の髪に混じって前髪一房だけが紫色になっている。
皇帝は苛々とした様子で手に持っている扇子を握り締めて、同じ場所を行ったり来たりしていた。大臣達は皇帝の前で平伏したまま、彼の怒りが収まるまでじっと辛抱強く待機している。
だがそれは過去の話で、今は緩やかに衰退の道を辿っている。
繁栄すれば必ず衰退する時が来るのが自然の摂理だが、かつてのこの帝国ではそのような摂理が通用しなかったのだ。
それはこの帝国に繁栄の加護をもたらした水妖族の神がいたからだ。
その神が加護を与えていたからこそ、この帝国は自然に恵まれ、戦でも負け知らずでいたのだ。しかしその神が十年前に姿を消し、加護が失われてから豊かな自然は徐々に砂漠へと変貌し、一気に領土が国の中心である湖付近まで追いやられてしまい、国民の半数が死に絶えた。
衰退しつつある国を建て直すには姿を消した神と、繁栄の儀式に必要な神の花嫁を一刻も早く連れ戻さなければならない。
神の花嫁がいると思われる国にはすでに彼の側近が向かい、先日接触したとの通達があった。その側近の実力は若輩ながら帝国内でも一、二を争う実力者だ。にも関わらず未だ神の花嫁を捕らえたという吉報が無い。
事は一刻を争う状況なので、皇帝であるリェンハイはかなり苛立っていた。ついに苛立ちは頂点に達し、手に持っていた扇子を力任せに床に叩きつける。
あまりの衝撃に扇子は壊れ、床に平伏していた大臣の一人に当たってしまった。だが皇帝には何も言えず、じっと耐え忍ぶ。
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