3-11

門衛にジークから渡された許可証を見せ、ついに外の世界に通じる門が開かれる。三人はついにノイシュテルン王国の外の世界へと飛び出した。



 当初の予定通り、三人は街道を歩き、徐々に外れて行く道順で馬を進めて行く。数時間もしないうちに、馬に乗り慣れていないナズナの身体が悲鳴を上げ始めた。

ナズナの限界を感じ取ったソルーシュがヴィルヘルムに声を掛け、一旦休憩を取ることに。


「ごめんなさい…」


自分の不甲斐無さを情けなく思いナズナが俯いていると、ソルーシュが温かい湯を小さなカップに注いで手渡した。


「気にすることはありませんよ、ナズナ姫。最初は皆慣れるまでそんな風になるものです」


「…ありがとう」


ソルーシュの優しさが今受け取った温かい湯のようにじんわりとナズナの心に沁み渡る。

 本当にソルーシュはどこまでも優しい。あの時からずっと。

ふと、ナズナの中で何かが引っかかった。そういえばソルーシュと自分の最初の出会いはいつだったろうか。元はと言えばソルーシュはヴィルヘルムの幼馴染で、今でこそナズナとも幼馴染の間柄ではあるが最初はそうでなかったような気がする。

そこまで考えるとナズナの頭にずきりとした痛みが走った。思わず痛みを感じたところに手を当てると、ソルーシュが慌てた様子でナズナの顔を覗き込んだ。


「な、ナズナ姫?!大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫です。ちょっと考え事をしていまして…」


「…何かあったらすぐに言って下さいね」


「ありがとう、ソル。心配掛けてごめんなさい」


きっと、ソルーシュとの出会いもこの記憶の欠片が一つになった時に思い出すことが出来るはずだ。そう思ってこれ以上優しい幼馴染を心配させないために、ナズナは考えることを止めた。

 ナズナが温かい湯を飲み干したところで、辺りを警戒していたヴィルヘルムが近寄ってきた。


「ナズナ、身体の方は平気かい?」


「はい、何とか…」


先程よりは大分楽になってきたが、そろそろ出発するのだろうかとナズナが腰を浮かせたところで従兄が手を貸す。彼の手を借りて立ち上がると、ナズナは馬の方へ行こうとして待ったがかかった。


「どうしましたか、ヴィル?」


「ナズナ、叔母上の形見であるあの短剣を出してくれないか」


 ヴィルヘルムの意図が分からないまま、ナズナは言われた通り肌身離さず持っている母の形見の短剣を出した。短剣の刃の部分は透き通った青で、刃先の方に行くにつれて淡い水色をしている。この短剣には神威が宿っていた。

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