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その後にこの国を建国した五代貴族であるミッターマイヤー家、ナイトハルト家、コルネリウス家、エルトゥール家、クラインハインツ家と騎士団の総帥の順だ。

後はナズナの元に挨拶に来た者に返していく…という段取りである。

 最初のダンスの相手は第一王子であるスティーブ王子で、それを終えればナズナが最も楽しみにしている友達作りという名の自由時間だ。

父は父で他にやることがあるため、ずっとナズナの傍にはいられない。故にサポート役としてソルーシュと、ここにはいない彼女の従兄が選ばれたのだ。


「何かあればソルーシュとヴィルヘルム…そしてお前の中にいる神威とエリゴスに言え」


「大丈夫です!私、もう十六ですから!」


頼もしい返事をするナズナだが、ジークの表情はどこか晴れない。

彼の杞憂を悟った神威がナズナの傍らに現れて安心させるように宥めた。


『ナズナの言う通りですよ。私もついていますし、エリゴス殿もいますから』


「…そうだな。神威、くれぐれもナズナを頼む」


浮かない顔の契約者の父親に一礼し、神威は頷いて再び彼女の中へと戻る。それと同時に控えの間の扉が大きく開かれた。礼服を纏ったソルーシュが大股歩きでやってくる。

堅苦しい服装のため、窮屈そうだがサイズはぴったりのようだ。


「ビスマルク公、私めに用意して頂いた礼服はぴったりのようでしたよ」


「そうか。では、時間までその格好でゆっくり寛いでいけ」



 ノイシュテルン王宮では、本日の舞踏会の準備のため大忙しだ。使用人だけでなく騎士達も慌ただしく動き回っている。

その中に金髪の背の高い騎士が上司である彼の叔父からの手紙を熱心に読んでいた。


 彼の名はヴィルヘルム=フォルトナー。

ノイシュテルン王国騎士団に所属するナズナの従兄である。

手紙には本日の舞踏会でナズナの護衛につくよう書かれていた。

尊敬する叔父、そして可愛い従妹のため、ヴィルヘルムは一肌脱いでやろうとすでに心を決めている。

まあ、この王宮の警備は万全なため、実質彼がやることは彼女に王宮の案内や慣習などを教えてやることだろう。

 ヴィルヘルムは長い間訓練のため、従妹に会えなかった日々が続いていた。なので、彼女に会うのがとても楽しみである。

久しぶりに会う従妹に思いを馳せるヴィルヘルムの元に、彼の同僚が現れた。


「楽しそうだな、ヴィルヘルム」


「ジェラルド!」


ジェラルドと呼ばれた青年は髪と同じ黒い獣耳とふさふさした尻尾を小さく振って彼の呼び掛けに応える。そして彼の横に並び、今しがた届いた、彼の手に握られている手紙のことについて尋ねた。

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