第7話 魔法師団長の息子

 その後、攻略対象に接触してみる、ヒロインらしきエミリアは要観察ということになった。


 魔法師団長の子息のルーク様は、2年生と学年が違うので、簡単には会わないと思う。


 3年生であるライオネル様とも本来なら簡単には会わないはずだけれど、ゲームではどういう出会いだったんだろうと考えていた。


 勉強を頑張って生徒会に入るとかなのかしら。たしかアルバート殿下もライオネル様も生徒会のメンバーだったわ。


 考え事をしながら歩いていたら、すらっと背の高い人にぶつかった。バサバサと本が落ちる音がする。


「ごめんなさい!!」


 慌てて本を拾う。なんだか数が多い。どうやって抱えていたんだろう。


「どこまで行くのだったのですか? 良かったら私も持っていきます」


 手伝いを申し出て、魔法研究倶楽部という資料室まで付いて行った。


「助かったよ。少し欲張って持ちすぎだった」

「それは良かったです。ぶつかってすみませんでした」

「僕はルーク=フィールディング、2年生だけど、君は? 顔を初めて見る気がする」

「クレア=バートンです。先日入学した1年生です」

「そうか、ありがとう」


 答えながら心の内で頭を抱えた。くだんの攻略対象に簡単に会えてしまった!

 多くを考えるのはやめて、先輩と別れて午後の授業を受けた。


 午後は歴史だった。伯爵家の私では、入学前にそれほど多くは学ばない。真剣に聞かなくてはいけない。


 また隣にやってきたアルウェッグ様は気になるけれど。


 私の住んでいる国、フェイム王国は、歴史の古い国だ。建国以来王政で、基本は男性が王位を継ぐ。歴史の中では女王もいたけれど。現在は順当に行けば第一王子のアルバート殿下が国王になる。


 国土は広く、山は少なく、農業は発達している。魔法があり、魔物も少なからずおり、辺境には魔物が多い森も存在する。


 バートン家は伯爵家で、貴族の中では広くも狭くもない領地を持つ平凡な家だ。ただ歴史だけは古く過去には王女が降嫁したこともあって、たまに金髪の子が生まれると聞いている。


 お兄様は茶色の髪だが、瞳は私と同じく蒼い。7歳離れていて、もう父の補佐をしているし、商会を持っている。


 容姿も悪くないし、優秀なのに婚約者がいないのは不思議だ。結婚してもおかしくない年なのに。シスコンだからなぁ。私は優しくしてもらって嬉しいけれど。


 このときの私はまだ知らなかったのだ。

 お兄様は養子で、血が繋がっていなくて、攻略対象の一人であること。


 血が繋がってないと知らない私に配慮して、ライオネル様達が隠したことを。

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