第8話 紅い髪のヒロイン
ある日、授業の準備をしていると、声をかけられた。女性の声だから誰だろうとそちらを向くと、紅い髪に茶色の瞳の女の子だった。アルウェッグ様の親戚? と思っていると、
「今日はケネスは休みなの。私はマイラ=アルウェッグ。ケネスの
「私はクレア=バートンです。アルウェッグ様とはそもそもお約束してるわけではないのでお気になさらず。それに婚約者もおりますし……」
「それって、グラハム=バートン?
あ、ごめんなさい。クレア様のお義兄様?」
「どういう意味かしら? 怒ってるわけじゃなくて、そう考えた理由を知りたいわ」
「だって義理の兄妹なんでしょ、第二王子と婚約しなかったら跡取りと結婚するのが自然と思って。もし違うなら私に紹介して」
「ちょっと待って! あなたが何を言っているのかわからないわ」
私は混乱した。でも、『第二王子と婚約しなかったら』と言ったわ。ゲームの何かを知っているのかもしれない。
「マイラ様? 良かったらランチをご一緒してくださる? 隣のクラスだったかしら?」
「ええ、そうよ」
「私の婚約者も紹介出来ると思うわ。授業を受けたあとで、また来ていただけると嬉しいわ」
「わかったわ」
なんとか会話をして約束した自分を全力で褒めたい。びっくりしたわ。授業をちゃんと聞けるかしら。だってあの子、義理の兄妹って言ったのよ。
しばらく思考が停止するのだった。
昼になってライオネル様とマイラ様がやってきた。ゲームの重要な話がしたいと耳打ちしてから、マイラ様に向き直る。
「紹介するわ、私の婚約者のライオネル=アスター様よ」
「え? ライオネルと悪役令嬢が? どうなっているの?」
ライオネル様がマイラ様の肩を掴んで何か言いかけたが、一度呼吸をしてから言い直した。
「アルバート殿下も交えて話がしたい」
ライオネル様が、殿下の許可を取ってくれて4人で昼食を取れることになった。特別室だ。ライオネル様が口火を切った。
「先程、悪役令嬢と言っていたが、君は誰で何を知っている?」
「わたしはマイラ=アルウェッグ。アルウェッグ家の養女になっているけど、正確には侯爵の姪なの。母は駆け落ちして市井で暮らしていたの」
「「養女……」」
「それから、悪役令嬢はなんていうか、聞き違いじゃないかな?」
マイラ様が今更ごまかそうとした。ライオネル様が納得するはずがない。
「大丈夫だ、意味はわかる。言葉を変えよう。君はヒロインなのか?」
「プレイヤーってことならそうよ。死んだときに設定していた名前とアバターの色だったわ。
でも、出自については知らなかったわ。なぜ強い魔力を持っているのか母に問いただしたら侯爵家に辿り着いたのよ。
ゲームでは、立ち往生した馬車を助けたことがきっかけで伯爵家の養女になるんだけど」
ライオネル様が頭を抱えてる。
「見つからなかったはずだ……」
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