第6話 特別室での内緒話
食堂に着けば着いたで、やはり視線をすごく感じる上にひそひそと話す音が聞こえる。
「あなたといると、とても注目されるのね」
感心して思わずこぼしてしまった。
「ライオネル! 彼女がクレア嬢か?」
ライオネル様の肩をたたいて微笑む眩しい容貌の人が来た。第一王子殿下のアルバート様だ。迷ったけれど堅苦しさを控えめに挨拶することにした。
「殿下におかれましては、ご機嫌麗しく……」
「やめてくれよ。アルでいい。ライオネルの良い人だからね」
微笑んでウィンクまでされて驚く。
そう言われましても、と心の中で返していると、殿下が特別室へ誘ってくれた。
特別室は食堂近くにある個室で、特別華美というわけでもなくシンプルな設えで、落ち着いた。
「メニューは同じだけれど、静かだからいつもここで食べているんだ」
殿下が気さくに話してくださるが、何を話して良いかわからない。
「実は、アル殿下には前世の記憶とゲームの話をしてある」
驚くことをライオネル様が話し出した。殿下が頷く。
「ヒロインは見つかったのかい?」
「候補はいます」
「接触してる攻略対象は?」
「あの……攻略対象ってつまりどなたですか?」
おずおずと聞いてみる。
「君が話していたケネス=アルウェッグが騎士団長の息子。他に魔法師団長の息子のルーク=フィールディング。教師のアーネスト=ハモンド。先日言った第二王子のフレデリック」
「他にもいるんだが第一部だとこんな感じだな」
「アルバート殿下は?」
「いいところに目をつけたと言いたいが、第二部はまだ開発中で、いわゆる追加キャラだったんだ。アル殿下とスウェイン王国からの留学生のサイラス王子が加わる」
「そういえば、私は悪役令嬢と言われましたが、他の方には婚約者はいないのですか?」
「いない。ゲームとして考えたときに、婚約者のいる浮気性の攻略対象と恋をしたいと思わないだろう? 君は特別だったんだ」
「それもそうですね。現実のこの世界ではどうなんですか?」
話を聞いていた殿下が答えてくれた。
「私には内々で決まっているマリーがいるけれど、他の人は聞かないかな。選び放題とは思うけど決めてないね」
「あの、婚約破棄のお芝居は第二王子殿下のためとお聞きしていますが、すでにヒロインと出会っているのではないのですか?」
殿下とライオネル様が顔を見合わせてからため息をついた。
「君が6歳のときに茶会を欠席してから、すでに話が変わっているのだと思う。政務においてはまあまあ優秀なんだが、女性相手はなぁ……」
「婚約者はいるんだけどね」
なんと言って良いかわからない状態だった。
「クレア嬢と学年は同じだから、そのうち会うよ」
「……学園に入りたくなかったわ」
思わず、本音が漏れた。本当は領地にこもっていたかったのだ。
「まあ貴族は義務だからね」
「話が変わっている以上、ヒロインが誰を選ぶとか関係なく、国の危機が訪れるのではないですか?」
「可能性は高いね」
「旱魃と冷害、流行り病に関しては対策してあるんだが……ついでに地震も警戒している」
「スタンピードと竜害がどうにも。騎士団は強化しているんだが、ヒロインの力も欲しいのが現状だ」
「戦うということは、ケネス様かルーク様を選んだ場合ですか?」
「……その通りだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます