第13章「魔王の真の目的」
遺跡を出た一行は、魔王領の奥へと進んだ。
途中、魔王軍の偵察隊と遭遇した。リーナとガルドが迎え撃ち、短い戦闘の後、敵は壊滅した。
だが、一人だけ生き残りがいた。
「捕虜だ」
ガルドが傷ついた魔物——いや、それは人型の存在だった——を引きずってきた。
「魔王軍の幹部クラスのようだ。尋問すれば、情報が得られるかもしれない」
捕虜は、歪んだ笑みを浮かべていた。
「尋問? くくく……好きにしろ。どうせ、お前たちに止められはしない」
「何を言っている」
リーナが剣を突きつけた。
「魔王の計画は何だ。何を企んでいる」
「計画? くくく……魔王様の計画は、すでに最終段階に入っている。お前たちが何をしようと、無駄だ」
「最終段階?」
「そうだ。『自動修復システム』の停止。それが、魔王様の目的だ」
健太の体が強張った。
「……何だと」
「魔王様は、あのシステムの存在を知っている。そして、それを停止させる方法も」
捕虜は笑い続けた。
「システムが止まれば、大陸中の建物が崩れ落ちる。人間たちは家を失い、街を失い、文明を失う。混乱の中で、魔王様は世界を支配する」
「なぜそんなことを——」
「『リセット』だ」
捕虜の目が、狂気に満ちていた。
「人間たちは堕落した。技術を忘れ、システムに依存し、自ら何も作れなくなった。そんな文明は、一度滅ぼして作り直すべきだ。魔王様は、そう仰っている」
「正気か……」
リーナが呟いた。
「何百万人もの命を奪って、何が『リセット』だ」
「必要な犠牲だ。新しい世界を作るための」
健太は黙って捕虜を見つめていた。
——魔王の考えは、分からなくもない。
この世界の人々は、確かに自動修復システムに依存しすぎていた。技術を失い、建物を直す方法を知らない。
だが——
「お前は間違ってる」
健太が口を開いた。
「何だと?」
「確かに、この世界の人間は技術を忘れた。システムに頼り切っていた。だが、それは——変えられる」
「変えられる? くくく……何を——」
「俺は見てきた。スラムの住民が、自分たちで橋を直すところを。ドワーフの職人が、新しい技術を学ぼうとするところを。『建設院』の生徒たちが、必死に勉強しているところを」
健太の声に、力がこもった。
「人間は、変われる。技術を取り戻せる。システムがなくても、自分たちの手で建物を直せるようになる。——だから、お前の『リセット』は必要ねえ」
捕虜は黙り込んだ。
しばらくして、笑い声が漏れた。
「くくく……くはははは……」
「何がおかしい」
「面白い男だ。だが、遅い。魔王様はすでに動いている。システムの中枢——魔王城の最深部で、停止のカウントダウンが始まっている」
「なに……」
「あと二週間。それでシステムは停止する。お前たちに止められるか? 魔王様を倒し、システムを守ることが」
捕虜は再び笑い始めた。
リーナは剣を収め、仲間たちを見回した。
「聞いたな。二週間だ」
「急がねえと」
健太が言った。
「魔王城に行って、システムを止められないようにしなきゃいけない」
「そして、魔王を倒す」
リーナは頷いた。
「二つの目標。だが、やるしかない」
一行は再び歩き始めた。
魔王城へ。
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