第2話「おや!?フェリルの様子が……!」

 Fランクダンジョン『スライムの草原』。

 そこで俺とフェリルはスライムと戦っている。


「わんっ!」

「ナイス噛み付きだ! フェリル!」


 あとはフェリルが与えた傷を狙って剣を振り下ろせば───!


 ズバッ!


「よし!」


 真っ二つになり、光の粒子となって消滅したスライムを見て俺は感嘆を漏らす。


「よくやった! フェリル!」


 桃色の毛並みを撫でてやると、フェリルが嬉しそうに目を細める。


「フェリルのおかげで、モンスターとも普通に戦えるな」


「わんっ! わんっ!」


「え? 俺の剣術が優秀だからだって?」


「わふっ!」


「そんなことないぞ。俺の剣は剣術スキルと比べたらまだまだだ」


「わふぅ……」


 モンスターは人間より戦闘能力が高いため、ダンジョン攻略はパーティで行うのが基本。

 なので、ソロでのダンジョン攻略は厳しいんじゃないかと考えていたが……。


 俺たちの実力でも、Fランクダンジョンくらいなら余裕で攻略できそうだな。


「この調子でどんどんモンスターを倒していくぞ!」

「わんっ!!」


 俺とフェリルはスライムを倒しながら、ボスモンスターのいる草原の奥へと向かう。


 フェリルのおかげか、ボスモンスターがいる場所へは想定より早く辿り着くことができた。


「この草むらの奥にボスモンスターがいるんだな……」


「わんっ!」


「フェリルの嗅覚はいつも優秀だな。助かるよ」


「わふぅ!」


 俺が褒めると、フェリルは誇らしそうに俺に体を擦り付ける。

 こらこら、くすぐったいぞ。そして俺の体をぺろぺろするな。


「とにかく、ボスモンスターを倒してさっさと宿屋に帰るか」


 呟いて、俺達が草むらを抜けると、


「……っ!?」


 強力な寒気が俺の体を貫く。


「なんだ? この威圧感は……?」


 目の前にいるモンスター……ボスモンスターは、ただのデカイスライムだった。

 この程度のモンスターなら、スキルを持たない俺達でも討伐できるはず。


 なのに……なんなんだ?

 身体中に走る強烈な悪い予感は……。


「くうん?」


 足元を見ると、フェリルが心配そうな目で俺を見上げている。


 ……フェリルはこの威圧感を感じていないのか?

 なら、この寒気は俺の気のせいなのか?


「わんっ! わんっ!」

「悪い。ちょっとビビってたみたいだ……」


 なにを恐怖してるんだ、俺は。

 ボスモンスターとはいえ、アイツはただのスライム。ビビるような相手じゃないはずだろ。


「行くぞ、フェリル」

「わふぅっ!!」


 剣を抜き、俺はボススライムへと斬りかかる。


 降り下ろした剣がスライムの粘液に触れた───その瞬間、


「……っ!?」


 突如、腹部に鈍い痛みが走り、俺の身体が十数メートル後方へぶっ飛ばされる。


「なっ……!? 一体なにが……」


 倒れた体を必死に動かし、顔を上げる。

 ボススライムの方へと視線を移すと、そこには巨大な腕のようなモノが生えたスライムの姿。


「なんだよ、あれは……」


 まさか、突然変異個体か!?

 俺はあの腕に殴らせたせいで、数十メートルもぶっ飛ばされたのか?


「だとすればあのスライムの強さは、上級モンスターに匹敵するぞ……!」


 アレはもはやスライムではない。

 今の俺たちじゃ絶対勝てない……圧倒的格上の別のモンスターだ。


「逃げるぞ! フェリル!」

「わ、わんっ!」


 フェリルに指示を出し、俺は体を起こそうとするが……


 ドゴンッッ!!


「がはっ!!」


 いつのまにか急接近していたボススライムに体を叩き付けられ、俺は血反吐を吐く。


 なんだよ、このパワーは……!?

 ヤバい。このままじゃ……。


「俺……死ぬ……」


「わんっ!! わんっっ!!」


「なっ!?」


 俺のことを守るように、俺とボススライムの間にフェリルが割って入る。


「フェリル!?」


 なにをしているんだ!?

 コイツはフェリルに勝てるような相手じゃないぞ!?


「馬鹿!! 逃げろ!!」


「わふっ、わふぅぅ……!」


「おい! 言うことを聞け!!」


 まずい。

 これじゃ俺だけじゃなくてフェリルまで死んでしまう……!


「頼む、逃げてくれ……!」


「わふぅぅ……っ!」


 俺の必死の願いは届かず、フェリルは不動のまま、ボススライムの腕が振り上げられる。


「そんな……!」


 俺のせいで、俺が弱いせいで。

 俺はフェリルまで失ってしまうのかよ……!


 俺が絶望した……その瞬間、


 ピカァァァァンッッ!!


「……え??」


 突如、フェリルの体が光り輝き出す。


「えっ!? フェ、フェリル!?」


 なんでいきなり光って……。

 というか、この光は一体なんなんだ!?


「って、ヤバい!」


 スライムの腕が降り下ろされる!

 このままじゃ俺たち、死───


「大丈夫ですよ。ご主人様」


「えっ?」


 少女の声。

 フェリルの光が晴れると同時に、桃色髪の美少女が姿を現す。


「このスライムは、わたしが倒しますので!」


 にこりと笑い、桃色髪の美少女はスライムの腕を片手で受け止める。


「……なっ!?」


 あのスライムの攻撃を片手で受け止めただと!?


「驚くにはまだ早いですよっ!?」


 桃色髪の美少女がもう片方の手で腕をぶん殴り、スライムの片腕を根元から吹き飛ばす。


 スライムがダメージに動揺している間に、少女はスライムの背後へと移動。スライムを殴り上げ、はるか上空へと打ち上げる。


「うそ……だろ!?」


 ボススライムを圧倒してるだと……!?


 闘拳スキル使いか?

 いや、それだけでは説明がつかない身体能力をしているような……。


「これでトドメですっ!!」


 跳躍。

 一瞬でスライムのもとに追い付いた少女が拳を構える。


「喰らえ───必殺・ワンパンチ!!」


 ドゴォォォォォォォォンッッッ!!!


 放たれた一撃。

 その衝撃がスライムを吹き飛ばし、その体を四方八方へと離散させた。


 バラバラになったスライムの体が、光の粒子となって消滅していく。


「マジか……」


 あのボススライムを一瞬で……。

 この桃色髪の美少女は一体……!?


「ご主人さまー!!」


 驚いていると、桃色髪の少女が俺のもとへと駆け寄ってくる。


「大丈夫ですか!? ご無事ですか!?」


「あ、ああ……。君のおかげでなんとか無事だ。ありがとう」


 そんなことより、


「君は一体何者だ? あのボススライムを一瞬で倒すなんて、凄腕の冒険者か?」


 俺が尋ねると、桃色髪の少女はなぜか悲しそうな目で俺を見る。


「ご、ご主人様……? 嘘ですよね? わたしが誰かわからないんですか!?」


「えっと……。すまない」


 もしかして知り合いだったか?

 こんな美少女、一回見たら絶対忘れなさそうだが……。


「この耳を見ても分かりませんか!? わたしの愛らしいケモ耳を見ても!?」


「ケモ耳……?」


 見ると、少女の頭部には犬のような可愛らしい耳が付いている。

 この耳の形は……まさか!?


「フェリルか!?」


「はいっ! ご主人様最愛の使い魔、フェリルでごさいます!!」


「え?? なんでフェリルがこんな美少女の姿に……!?」


「そんなの決まってるじゃないですか!」


 讃えるようにフェリルは言う。


「ご主人様の力がわたしを進化させたんですよ!」


 …………………………え??

 進化って……なんのこと???



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冒険者テイマーの爛れた生活 ~使い魔を進化させられるテイマーはこの世界で俺だけらしく、美少女達が強さ(と俺の身体)を求めて自分からテイムされにくる~ 【検閲済み】 @rokunose

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