冒険者テイマーの爛れた生活 ~使い魔を進化させられるテイマーはこの世界で俺だけらしく、美少女達が強さ(と俺の身体)を求めて自分からテイムされにくる~

六ノ瀬ハンガーラック

第1話「落ちこぼれテイマー」

「アルバ。お前、パーティ抜けろ」


 パーティリーダーから告げられた戦力外通告。

 いきなり言われたその発言の意味が理解できず、俺の思考がフリーズする。


「え? それってどういう……」


「だから、お前はパーティに要らねえって言ってんだよ!!」


「え……?」


 俺の心臓がドクンと跳ねる。


「ま、待ってください。どうしていきなり……」


「どうして、じゃねえだろ。お前、テイマーの癖に全然モンスターを使役できねえじゃねえか」


「でも、俺にはフェリルが……」


 俺の肩に乗る、桃色の毛並みの小さな狼。

 俺が唯一使役しているモンスターを見て、パーティリーダーはため息を吐く。


「雑魚モンスター1体しか使役できない奴がなんの役に立つんだよ……」


「え?」


「テイマーなら普通、色んなモンスターをテイムしたり、強力なモンスターを使役するもんだろうが!」


「そ、それは……」


 パーティリーダーの言葉に俺は押し黙る。


 リーダーの言う通り、他のテイマー達は複数のモンスターを同時使役していたり、高ランクモンスターをテイムして戦っている。


 なのに俺は……


「高ランクモンスターどころか、そこら辺にいる雑魚モンスターすらテイムできない無能。どう考えてもパーティのお荷物だろうが!」


「…………っ」


 そう。俺はフェリル以外のモンスターをテイムすることができない。

 他のモンスターをテイムしようとしても、どういうわけか失敗してしまう。


 テイムスキルが使えないテイマーなのだ。


「ですが、俺には剣術があります!」


 テイムスキルが使えない代わりに、俺は剣の腕を磨いてきた。


 たとえ他のモンスターを使役できなくとも、剣の技術さえあればパーティの役に立てる。

 そう信じ、俺は死にものぐるいで剣の鍛錬を積んできた。


「今までだってこの剣でパーティに貢献して……」


「で? お前、剣術のスキル持ってるのか?」


「スキルは……持ってないですけど……」


「じゃあ無能だろ」


 バカにするかのようにリーダーが笑う。


「テイムスキルも剣術スキルも使えねえ無能、パーティには要らねえよ」


「で、ですが……!」


「いい加減理解しろよ。この世界は才能スキルがすべてなんだ」


 吐き捨てるようにリーダーは言った。


「スキルが使えないお前は、ただのゴミなんだよ」



​───────​───────​──────​───────​───────​──────



 広場のベンチに腰を下ろした瞬間、絶望が体に一気に押し寄せる。


「パーティを追放か……」


 空を仰ぎながら、俺はリーダーに言われた言葉を思い出す。


 ───スキルが使えないお前は、ただのゴミなんだよ。


 わかっていた。

 テイムスキルが使えない俺が役立たずなことくらい。

 いくら剣術を磨いても、剣術スキルを持つ剣士には一生敵わないことくらい。


「でもあんまりじゃないか。この世界は才能スキルがすべてなんて」


 生まれた瞬間に女神様から与えられるスキルの力。


 そのスキルが劣等なら、その人は劣等な人生しか歩めないのか?

 生まれた瞬間に、その人の運命のすべてが決まってしまうのか?


「そんなの認められるわけないだろ……」


 冒険者になりたかった。

 モンスターから人々を守る、かっこいい冒険者に。


 たとえ使えないテイムしかスキルを持っていなくても、強くてかっこいい冒険者になれる。


 そう信じていたのに……。


「やっぱり俺は、冒険者になれないのかな……」


 スキルが使えない俺じゃ、冒険者なんて夢のまた夢……


「くうん……」


 俺がため息を吐くと、膝に乗っていたフェリルが俺の顔を心配そうに見つめてくる。


「フェリル、俺を慰めてくれるのか?」


「わんっ! わんっ!」


「ああ……。たしかに、そうだったな……」


 たとえスキルが使えなくても、俺にはフェリルがいる。


「冒険者の夢を諦めるのはまだ早いか」


「わふっ!」


「フェリルはいつも元気いっぱいだな」


 お腹を撫でてやると、フェリルは嬉しそうに体をよじらせる。


 そうだ。諦めるのはまだ早い。

 俺とフェリルのコンビネーションなら、たとえスキルが使えなくてもダンジョン攻略くらいできるはず。


「さっそくダンジョン攻略に行くか!」

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