開幕
「皆様、今宵はハナブサ劇団の新作特別公演――『月下の貴族と、愚かな盗賊』の初演にお越しいただき、誠にありがとうございます」
キューブリック邸の大広間。特設された豪華なステージの上で、キリコが凛とした声で口上を述べる。
「実はこの演劇、予定していたホールの不備で公開中止になるはずでした。しかし、今日のホストであられるキューブリック伯爵殿のご尽力のおかげで、こうして無事に幕を上げることができました。今宵は時間を忘れ、大いに楽しんでいただきたい」
キリコが深く頭を下げると、会場の貴族たちから割れんばかりの拍手が沸き起こった。中には黄色い声を上げてキリコの名を呼ぶ貴婦人たちの姿もある。
自分の名前を立てられたキューブリック公爵は、これ以上ないほど満足げに鼻を高くし、周囲の貴族たちに誇らしげな視線を送っていた。
そんなキリコの演説を、シズクが作った音声を飛ばす魔道具を通して聞いていたゼンジロウは、屋敷の外で「ヒュー」と小さく口笛を吹いた。
「……やっぱりあいつ、やる時はやる男だよな」
キリコの完璧な立ち回りに、善次郎の口元が不敵に歪む。
「キューブリックの奴も完全に調子に乗ってやがる。……こりゃあ上手くいきそうだぜ」
ゼンジロウは通信機に魔力を送り、闇に潜むメンバーたちへ合図を送った。
「各員、配置につけ。――『祭り』の始まりだ」
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