キューブリック公爵

「……ゴミ虫どもが、好き勝手にほざきおって!」


アルフレッド・キューブリック公爵は、豪華な自室で怒りのままに花瓶を床に叩きつける。


街では、彼が紙袋を被った二人組にボコボコにされたという噂が広まり、「貴族のツラ汚し」とまで囁かれている。


「絶対に殺してやる……!」


キューブリックは金に物を言わせ、調査団と傭兵を雇い、血眼になって犯人を捜索させていた。


憎き2人を見つけて殺すのもそうだが、キューブリックにはもう一つやるべき事があった。

そう、損なわれた名誉の回復だ。

どうにか貴族達のご機嫌を取らなくてはならない。その為に情報収集に一層力を入れたキューブリックであった。


そんな折、彼のもとに一本の知らせが届く。


「何……? ハナブサキリコの劇団が、舞台の雨漏りで急遽新作の公演取りやめ? 近くで公演先を探しているだと?」


ハナブサキリコの劇団といえば、王国一の人気を誇り、上級貴族でもチケット入手が困難な伝説の劇団だ。


「これはチャンスだ。すぐに連絡を取れ! 私の邸宅で貴族を集めたパーティを開き、そこで新作を披露させるぞ」


落ちた評判を取り戻す絶好の機会だと、彼は狂喜乱舞した。自分の屋敷が、革命軍を招き入れる「祭りの舞台」になるとも知らずに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る