革命の夜明け
街の壁を破壊し、公爵をボコボコにして戻ってきた私たちを待っていたのは、冷ややかな笑顔を浮かべたリュウメイだった。
アイリスは蛇に睨まれた蛙のようにダラダラと冷や汗をかいている。
「悪かった、リュウメイ。私が外に出たいと言ったんだ」
「……もちろん、コウさんも悪い。悪いけど、一番はアイリスちゃん、あなただよね?」
「は、はい……」
「僕、頼んだよね? 絶対にコウさんを外に出さないでって。護衛も、見張りも、自ら立候補したのは誰だったかな?」
「……わ、私です」
リュウメイの静かな問い詰めに、アイリスは今にも泣き出しそうだ。
「……す、すまない、リュウメイ。本当に私が無理を言って頼んだんだ、だからなんとかこれぐらいで……」
そう言ったタイミングでゼンジロウが間に入ってくれた。
「まあまあ、リュウメイ。起きてしまったことはしょうがないじゃん。これからの対策を考えよう。……それで、その貴族の名前は?」
「確か……キューブリック伯爵、とか言っていたか」
そう答えた瞬間、キリコが悲鳴のような声を上げた。
「キューブリック!? 」
「知ってるのか、キリコ」
「知ってるも何も、国でも一二を争う金持ち貴族ですよ! 階級は公爵ですが、財力に物を言わせて上級貴族すら逆らえない男です。今頃、必死にコウさんとアイリスさんの居所を探しているはずですよ。どうしよう、アジトが見つかったら僕ら全員死刑だ……! ゼンジロウさん、どうしたらいいんですか!」
「おいおいキリコ、落ち着けって。何とかしてくれるって、リュウメイが!な、リュウメイ!」
リュウメイが想像以上に難しい顔で思案しているのを見て、ゼンジロウ、キリコ、アリシア、私は揃って震えてしまった。
「こうなってしまった以上、腹をくくるしかありませんね」
リュウメイは不敵に笑い、テーブルを叩いた。
「皆さん。結局、市民が苦しんでいるのは王族や貴族、勇者派の汚職が原因です。我々の真の敵、は勇者ですが、広い意味ではその足元を支える貴族どもも敵なのです。元々……足元から崩していく予定でした。最初から少々大きなターゲットになってしまいましたが問題ないでしょう。ゼンジロウ、私はキューブリックの屋敷に忍び込み、奴の腐った財産を奪い民衆にばら撒く事を提案します」
キリコがまた大きな声をあげる。
「正気ですか!? あの屋敷の警備はとてつもなく厳重ですよ!」
しかしゼンジロウはリュウメイの提案を聞いて心底愉快だという風に笑った。
「ふふふ。流石リュウメイ!面白いアイディアだ!キリコ!キューブリック邸に潜入するための情報収集はお前の役目だ!気張れよ!」
キリコは信じられないと言った顔をする。
「もう……無茶苦茶なんだから!」
毒づきながらも、キリコの頭脳はすでに屋敷の外観を思い出し、様々なシミュレートし始めているようだった。
「――よし、方針は決まった。一応聞くが
みんな賛成か?」
「異議なし」
「次は俺にもちゃんとかませろ」
「やっと革命軍らしくなってきたわね」
メンバーが口々に賛同する中、ゼンジロウは最後に一つ、重要な提案をした。
「本格的に活動を進めるために、作りたいものがある。――仮面だ。顔出ししながら反乱軍を続けるほど、俺も馬鹿じゃねえからな」
「仮面の義賊。悪くないね」
「衣装の一式は私が手配するわ。出所もバレないようにね」
とサリーが請け負う。
「では、潜入用の道具は私が……。鉱物も好きですから、マスクも面白いものを作ります」
大変な任務になるというのにシズクは爛々と目を輝かせている。
あれだけ嫌がっていたキリコも、
「僕は……死ぬ気で働きます! 寝ないで情報を集めます!」
ゼンジロウは満足げに頷き、アジトの全員を見渡した。
「さて……始めようじゃねえか。――世界をひっくり返す、『祭り』をよ」
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