第2話 次の旅へ
夜が明ける。
「おはよう。昨日はありがとうね」
宿の受付にいた老人が、穏やかな声で話しかけてきた。
「まさか、あの巨体を少女二人で瓦礫にしちゃうなんてね」
「いつものことだから」
アルカが淡々と返す。
「……昨日の機械兵は、そんなに強くなかった」
オルカも事実だけを述べた。
それ以上言葉を交わすことはなく、
二人は軽く頭を下げて宿を出る。
旅に必要な物を整え、街を一巡する。
だが、目当てのものは見つからなかった。
「アルカ。ここには、ないみたい」
「うん」
短く頷き、二人は門へ向かう。
門の前には、昨日の門番の姿があった。
幸いにも、目立った怪我はなさそうだ。
その隣には、見慣れない男が立っている。
「初めまして」
男は一歩前に出て、名乗った。
「私はこの……まだ名前はないけれど、
この街でエンジニアたちをまとめている。
ガースだ。昨日は本当にありがとう」
続けて、門番が肩をすくめる。
「よっ! 昨日は助かった!
もう少しで真っ二つになるところだったぜ。
俺も、嬢ちゃんたちみたいに強くならないとな!」
冗談めかした声だった。
少なくともこの街では、
双子の“強さ”は異常として扱われていない。
それは恐怖でも、崇拝でもなく——
ただの事実として、受け入れられているようだった。
続けて、ガースが口を開いた。
「瓦礫は、この街の機械たちに活用するつもりだよ。
幸いにも……“アレ”は、なかったみたいだからね」
その言葉に、門番が首を傾げる。
「ガースさん、前から気になってたんだが……
その“アレ”って、なんのことだ?」
一瞬、ガースは言葉を選ぶように視線を落とす。
だが、その前にアルカが淡々と答えた。
「人工知能の核。
普通の機械兵にはないけど、司令クラスの機械兵にはある」
「胸部装甲の内側……心臓部に、青い箱がある」
続けて、オルカが補足する。
「……機械司令は、単独では動かない。
自分では戦わず、指示ばかり出す」
門番は数秒考え込み、やがて納得したように頷いた。
「なるほど……」
ガースは姿勢を正し、二人を見た。
「アルカ様、そしてオルカ様……でしたね。
改めて、昨晩はありがとうございました。
何か、私たちにできることはありませんか?」
アルカは、即答だった。
「ない。
私たちは、人間の拠点を巡って、近くに機械司令がいないか探しているだけ」
「あなたたちは、自分たちを守って」
「……じゃあ、もう行く」
オルカが素っ気なく告げ、そのまま歩き出す。
次の街へ向かって。
「気を付けてください」
ガースが背中に声をかける。
「ここから北へ行くと、小さな集落があります。
旅人が立ち寄ることもあるそうです。よければ」
「ありがとう」
軽く会釈をして、二人は門を後にした。
街の外へと続く道に、二つの背中が小さくなっていく。
「……不思議な子たちだな、ガースさん」
門番がぽつりと呟く。
「そうだね」
ガースは静かに答えた。
「あの子たちには、何か特別なものを感じる。
……我々も、危険に備えなければ」
RUKA モノノクロ @Miggun_1213
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