余命一ヶ月の悪役転生 ~好感度-99(殺意)のヒロインたちを、生存本能に従って全員「絶頂堕ち」させます。100人抱いて呪いが解けるまで、俺の「本能」は止まらない~

菊池 快晴@書籍化進行中

第1話 ウォルデ・ウォーリー

「ヴァルデ様、お召し物の交換に上がりました」


 冷たい女性の声色だ。ハッと目が覚めたかのように周囲が明るくなっていく。

 俺の目の前には、メイド服を着た青髪の女性がいた。

 スタイルはアイドルのように素晴らしく、手足がスラリと長い。

 肌は真っ白、おめめもぱっちり。鼻筋も透き通っていて、唇は赤くふっくらしている。

 まるで二次元のキャラクターが目の前にいるみたいだ。


 いや、どこかで見たことがある。


「ウォルデ様、失礼します」


 すると彼女は何を思ったのか俺に近づいてくる。

 俺はぎょっとするも、両手を天にかかげてと言われて、その通りにする。


 リンネが近づいてくると、石鹸の香りのようなフローラルな匂いがした。

 なんというか、これぞ女性だと思える感じだ。

 

「……チッ」


 え? いま舌打ち……しなかった?


 突然、俺の服が脱がされる。え、ええ!? と後ずさりしたら、リンネはその美しい表情から繰り出される最高にインパクトのある目をしていた。


「早く、してもらえないですか」


 そのとき、頭上の数字に気づく。

 -98。

 それが、今この瞬間、-99に繰り上がったのだ。


「……ま、待てよ。まさか、これは――」


 ――エターナル・ラブ・ファンタジア ~100人の異世界美女とちゅっちゅする英雄譚~じゃないか!


 と、ということは。


「……リンネ、か?」

「? なんですか」


 冷たい声色、その美しすぎる肢体。

 そうだ。リンネだ。


 これは俺が生前にやっていた異世界エロゲ―で、いわゆる、自分への好感度が数値化された世界だ。

 無関心の場合は0から始まり、会話をしたりすることで10、20と数字が増えていく。

 100を超えるとなんと、そう――愛し合えちゃうのだ。

 当たり前といえば当たり前だが、可視化されることで面白さが格段に跳ね上がる。

 さらにこのゲームの良かったところは、どんなキャラクターも攻略対象だということ。

 街中にいるモブ女性から教会の聖女、果ては高飛車な王女様だって攻略可能である。

 なんとなんと、同姓の頭の上にも数字があるというのだから驚きだ。


 さらにおもしろいのは、異世界だということだ。

 鍛えることで強くなり、ステータスが上がると、好感度を上げやすくなる。

 強く、さらに強く、そして女を、たまに男も抱け!

 それが、このゲームのキャッチフレーズだった。


「あの、早くしてほしいんですけど。次の仕事があるんですけど」


 だがしかし、おかしい。

 リンネの頭の上には、なぜかマイナスがついている。


 ……いや、そうか、そういうことか。


「リンネに煩わせるつもりはないよ。ごめんね。俺が自分でやる。服だけ借りていいかな」

「……ええ、まあ」


 俺は服をリンネから手渡してもらう。

 すると、-99の好感度が-98に下がった。


 ……やっぱり、そうだ。


 姿見で服を着替えながら確認する。

 うつっていたのはぶくぶくと太った金髪だった。


 俺の名前はウォルデ。小悪党のウォルデ・クォーリーだ。


 当然こんなキャラクターが主人公なわけがない。

 最低最悪、極悪非道のモブである。


 とにかく人の嫌がることが大好きなやつだ。お菓子が好きでだらしなく、こうやって毎日リンネを呼んで、食べかすで汚れた服を着させてもらっていた。

 ただ、もちろんこんなキャラクターが存在していいわけがない。


 こいつはいわゆる、主人公のかませ犬だ。

 将来は主人公に破滅に追い込まれ、使用人からも殺されてしまう。

 そしてその時の数字はもちろん-100


 つまり、相手を殺したいほど憎んでいる状態、ということだ。


 もしこのまま俺がだだをこねていたら、リンネの数字はカンストしていただろう。

 すぐに殺されるわけではないだろうが、きっかけさえあれば殺られてしまう。


 いわゆる、むしゃくしゃして殺った、というやつだ。


 本来の主人公はイケメンなので、女性に話しかけるだけでもすぐ数字は上昇する。

 ワハハ、ちこうよれ、ちこうよれと心の中でいいながら、外面は紳士的にするのがこのゲームの醍醐味だった。


「では、こちらは預からせていただきます」


 リンネは、俺の汚れた服を丁寧に畳む。

 これから洗濯に持っていくのだろう。


 しかし――。


「リンネ、自分でやるからいいよ。それより、もう昼だ。使用人たちと街にランチでも行ってきて。有給も取れてないだろうしね」

「……え?」


 俺の中に、ウォルデの記憶がまざってくる。

 リンネは休みがまったくとれず、毎日、それこそ毎日働いていた。

 彼女は貧乏男爵家の元令嬢だ。

 事業がままならくなり、メイドとして働くことになった。

 その雇い主が先が俺なんてあんまりだ。


 最低だなウォルデ。いや、俺か。


「いいの、でしょうか」

「もちろん。いつもありがとうね」


 リンネの冷たい表情が、段々と柔らかくなる。


「……洗濯だけ、やってから休憩を取らせていただきますね」


 なぜか俺の服をとり、しかし、部屋に出る前には好感度が-95になっていた。

 今までひど過ぎたからかそこまで減らないが、それでも命を狙われることはなくなった。


 ホッと胸をなでおろしつつも、冷静に現状を整理する。


 そういえば俺、40歳まで童貞だったな……。

 

 前世はひどいものだった。物心つくころから両親はいなく、孤児院で育てられた俺は、そこで虐めを受けた。

 人と話すが苦手になり、学生時代に楽しい記憶は一つもない。


 社会人にもなれず引きこもり、唯一楽しかったのはゲーム。

 だからさっきリンネと話したのは、感覚的にはもの凄く久しぶりだった。


 ……それなのに、何で主人公じゃねえんだ。


 神様はひどい。なんで、こんなに――。


 いや、でもまだだ。

 破滅になるのも、学園に入学して主人公に喧嘩をふっかけるからだ。

 つまり、それまでに心を入れ替えておけば――。


「俺は異世界生活が楽しめるってことか!?」

 

 そうだ、なにも悲観的になることはない。

 太っているのも、ダイエットすればいいだけだ。

 前世ではできなかったものの、やる気が満ち溢れてくる。


 そうだ。ここは、ただ好感度が見える世界なのだ。

 そう思えば、二度目の人生は悪くない。


 ――ピロン。


「ん、なんだこれ。あ、ステータスか」


 右上にピコンと通知があった。

 見慣れたものだったが、実際の目で見るのとは大きく違う。

 開く、を押すと、そこには俺の名前と数値が出てきた。



 ――――――――――


 ウォルデ・ウォーリー

 称号:希代の小悪党

 レベル:1

 体力:10

 魔力:1

 スキル:ロック中。

 クエスト:一カ月の間に好感度を100にし、女を知れ。 (※注:ただし、初期好感度はほとんどマイナススタートしています)

 余命:心臓停止まで30日。

 ――――――――――


 名前と……称号ひどいな。

 レベルは当たり前だとして、体力と魔力もダメダメだ。

 スキルもないって、詰みじゃないか。


 余命……ん、余命!?


「え、なにこれ……」


 そのとき、ハッと思い出す。

 俺は攻略本を見るのが大好きだった。

 そこに、こう書かれていた。


『ウォルデには実は裏設定があって、一定期間までにクエストをクリアしなきゃ心臓が停止して死ぬんですよねwww ただのお遊びプログラムですがw』


 ……え、え。


 つまり、30日の間に誰かの好感度を100にして女性、もしくは男性とあんなことやこんなことできないと


 俺は――死ぬ!?


 ――――――――

 宣言します。


 100人と愛し合います(男女比率未定)

 

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