帰路
冬夜の、空高くからの飛行機の騒音しか聞こえない澄んだ空気を吸う。普段より1時間ばかり早く来た眠気が瞼に圧を与え、眼球は疲弊していた。
一歩、また一歩。
次第に足もブリキのように鈍くなり、夜の暗闇の中ではこれすら若干ばかりの恐怖と絶望になる。右ポケットに突っ込んだ右手と、厚いジャッケットに覆われた上半身だけが熱を保っていて、それ以外には容赦なく浴びせられた冷気により鳥肌が立っていた。左手の末端の感覚ははや遠かった。
空はずうっと真っ暗で、たいそう昔の人が見たという「冬の三角形」すら見えず、ただ近くの薄く黄色がかった白色の街灯と、民家から漏れた暖色の光だけだった。民家の森の一本一本にはそれぞれ明かりがついており、またその色は違えど皆それぞれ暖かそうなのを見て、僕は羨んだ。
一歩、また一歩。帰路は遠い。
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