高峯明③ 第一章

「私は卒業したら管理栄養士を目指すよ。音楽は趣味程度でいいかな」

いつも通り放課後の2人だけの時間。

カフェのカウンターで、カフェラテを片手に桐生はそう言った。

明は受け止められずにいた。卒業したら一緒にバンドをしたいと思っていた。

音楽のことが大好きなはずなのに。

才能だってあるのに。

「そういえば、この前歌ってた曲名何?すごく聴きやすかった」

「羨望って曲だよ」

「だれの?」

「オリジナル...」

「すごいね、売れる気がする」

ずっと一緒にいられないという喪失感と、褒められた嬉しさが混じりあい、明は自分の感情が今どこにあるのか分からなくなっていた。


その日の夜は母親を亡くした以来の寂しさが明を襲っていた。

ギターを取り、がむしゃらに桐生への思いを歌った。

忘れないように録音もした。


めちゃくちゃな曲だったが、バンドメンバーに聴かせてみる。

恥ずかしさが込み上げてきたが、メンバーからはかなり好評で編曲作業が早速始まった。


明は卒業してもバンドを続けると決心した。

いつか桐生に一緒にいたいと思ってもらうために。

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