第1期 第15話 (最終話) 泥濘の夜明け(ボイド・ジョーカー・ライズ)
【場所:国境付近・名もなき荒野】
(激しい追撃を逃れ、ようやく雨の止んだ荒野に辿り着いたすぎもん、ゆうにく、ささ、そして隠れていた「らい」。すぎもんは力なく地面に座り込み、かなるが消えた瞬間の光景を反芻していた)
すぎもん:……俺のせいだ。俺が弱かったから、あいつは……。
ささ:……ねえ、すぎもん。いい加減にしなよ。あんた、本当にあの「死に方」が本当だと思ってるの?
すぎもん:……え?
ささ:僕は見たよ。あいつが消える寸前、満足そうに口角を上げたのを。……遺体すら消えるなんて、普通の死に方じゃない。あいつは死んだんじゃない。「消えた」んだよ。自分からね。
すぎもん:……(息を呑む)あいつが……わざと?
らい:……(すぎもんの足元に寄り添い、クゥンと悲しげに鳴く)
(一方、ノモンホ要塞。かなるの葬儀がしめやかに行われる中、一人屋上に立つ「のあさん」の姿があった。彼はすぎもんが脱ぎ捨てた団長のマントを握りしめている)
のあさん:……(拳を震わせ、誰もいない空を仰ぐ)……すぎもん。……済まぬ。済まぬ……!
(のあさんは、軍をまとめる立場として、あえてすぎもんを「仇」と呼ぶしかなかった。だが、その胸の内は後悔で張り裂けそうだった。かなるの死の不自然さ、そしてすぎもんがこれまで耐えてきた孤独を、誰よりも理解していたのは自分だったのだから)
のあさん:……わしは、師として失格だ。お前を……あんな場所へ一人で追いやってしまった。……生きてくれ、すぎもん。いつか、この曇天(どんてん)の空を、お前の虚空で切り裂くその日まで……。
(場所は戻り、荒野。立ち上がれないすぎもんの前に、ひょっこりと小さな影が現れる。ミナモト村にいたはずの「まんら君」だ)
まんら:……お兄ちゃん!
すぎもん:まんら……!? なぜここに!
まんら:僕、村を抜け出してきたんだ。……お兄ちゃん、これ返すよ。
(まんら君が差し出したのは、泥に汚れ、ボロボロになったすぎもんの団長徽章だった。逃走中に落としたものを、彼は拾い届けてくれたのだ)
まんら:みんなはお兄ちゃんが悪いって言うけど、僕は信じない。……お兄ちゃんは、世界で一番かっこいい道化師だもん!
すぎもん:……(徽章を強く握りしめる。涙が、今度は泥を洗うように溢れ出した)……ああ。……そうだな。
(すぎもんが顔を上げる。その瞳には、かつての迷いはなかった)
すぎもん:……俺は、道化師だ。世界中に嫌われ、嘘の太陽に焼かれても……俺の手が届く場所だけは、二度と誰にも傷つけさせない。
(すぎもんが立ち上がる。隣には、静かに寄り添う野獣のゆうにく、不敵に笑うささ、尻尾を振るらい、そして無邪気な分身の予感を見せるまんら)
ささ:……さあ、これからどうする? 指名手配犯のリーダーさん。
すぎもん:……決まってる。かなるの「正体」を暴き、この歪んだ世界を……俺たちの手で「虚空」に還してやる。
(朝日が昇り始める。だがそれは、かつての「聖者」を象徴する眩しい光ではなく、荒野を等しく照らす冷たく鋭い光だった。すぎもんたちは、伝説の「反逆軍」としての一歩を踏み出す――)
俺ファミ ゆう @Yuu_29
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