第1期 第13話 『道化師の追放と、聖者の慈悲』


【場所:ノモンホ要塞・作戦会議室】

(蒼司は一命を取り留めたものの、意識不明の重体。会議室には重苦しい空気が流れ、すぎもんは中央で糾弾されていた。のあさんは無念そうに目を伏せている)

聖軍兵士A:もう限界だ! すぎもんを団長から解任しろ! 味方を何度も傷つけ、挙句の果てに蒼司まで……!

聖軍兵士B:かなる様こそが団長に相応しい! すぎもんは今すぐこの要塞から出ていけ!

かなる:……(悲しげな表情で立ち上がる)みんな、落ち着いて。すぎもん君もわざとやったわけじゃないんだ。……ただ、彼の持つ「虚空」という力が、あまりにも残酷で、制御不能なだけなんだよ。

すぎもん:……(真っ白になった頭で、拳を握りしめている)

かなる:……すぎもん君。僕から一つ、提案がある。

(かなるはすぎもんの傍らに歩み寄り、優しく肩に手を置く。その手のひらから、再び微かな「抑圧の気」がすぎもんの体を縛る)

かなる:君がここにいれば、みんなの不安は消えない。……一度、軍を離れて頭を冷やしてこないかい? 君の「団長」としての席は、僕が代わりに守っておくから。……これが、君とみんなを守る唯一の方法なんだ。

すぎもん:……(かなるの目を見る。そこには慈愛の奥に、獲物を追い詰めた猛獣の愉悦が見えた)……そうか。……最初から、これが狙いだったんだな。

かなる:……何のことかな? 僕はただ、君を助けたいだけだよ。

のあさん:……待て、すぎもん! 行くな! ここを出れば、貴様は本当に「反逆者」の烙印を押されるぞ!

すぎもん:……いいんですよ、のあさん。……ここにいても、俺が斬れるものはもう何もない。

(すぎもんは団長の証であるマントを脱ぎ捨て、雨の降る屋外へと歩き出す。兵士たちからは罵声と石が投げつけられるが、彼は振り返らない。要塞の門の近く、まんら君が泣きそうな顔で立っていた)

まんら:……お兄ちゃん! 行っちゃうの?

すぎもん:……(立ち止まり、懐のハンカチをそっと撫でる)……ああ。少し、散歩に行ってくるだけだ。……まんら、元気でな。

(すぎもんが一人、暗い森の中へと消えていく。その様子を、要塞のバルコニーからささとゆうにくが見下ろしていた)

ささ:……行っちゃった。ねえ、ゆうにく。どうする?

ゆうにく:……(無言で立ち上がり、すぎもんの消えた森の方へ歩き出す)

ささ:……あはは。やっぱり。僕もあんな「嘘つきの聖者」の下で働くのは御免だよ。行こうか。

(一方、会議室。一人残ったかなるは、窓の外を見つめながら、誰にも聞こえない声で独りごちた)

かなる:……さあ、舞台は整った。すぎもん君。君には「絶望の中で死ぬ」という、最高の役目が残っているからね。……もうすぐ、君を迎えにいくよ

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