第1期 第4話 『限界の向こう側』
【場所:ノモンホ要塞・中央大通り】
(逃げ出した「なつ」を追おうとするすぎもんたちの前に、巨大な腐臭を纏った足臭が再び立ちふさがる。その皮膚は赤黒く変色し、血管が浮き出ていた)
足臭:……なつのヘボ野郎が。指を消されたぁ? 笑わせるな。力がねえからそうなるんだ。
すぎもん:……どけ、足臭。お前の相手をしている暇はない。
足臭:あぁ? 舐めるなよガキが。……いいぜ、見せてやる。……「本気出す!」
(足臭が叫んだ瞬間、彼の身体から溢れ出すエネルギーの質が変わった。大気が震え、周囲の石畳が重圧だけで粉々に砕け散る。その異様な光景に、後方の兵士たちが腰を抜かす)
聖軍兵士A:な、なんだこのプレッシャーは……!? さっきまでの比じゃない!
のあさん:……(車椅子を自ら漕ぎ、最前線で目を細める)総員、下がれ。今のあいつは、生物の理を外している。
かなる:のあさん、あれはいったい……? 普通の身体強化(気力)には見えませんが。
のあさん:……いいか、若造ども。よく見ておけ。我々が使う力には二つの源(みなもと)がある。
(のあさんは、震える手で自身の鎖を一本掲げ、解説を始める)
のあさん:一つは**『魔力(マナ)』**。大気や精神に宿る超常エネルギーだ。事象を書き換え、属性を操る「魔法」の源。強力だが、使い切れば「魔力枯渇」に陥り、泥のように眠り続けることになる。
(のあさんの視線が、不気味に膨張する足臭の筋肉へ向く)
のあさん:もう一つが、肉体に宿る生命力……**『気力(オーラ)』**だ。身体能力を爆発的に高めるが、限界を超えれば肉体が崩壊し、寿命すら削る。……だが、あいつは今、その両方の「リミッター」を無理やり同時に引き剥がしよった。
かなる:魔力と気力を同時に、ですか?
のあさん:……左様。本来、魔力による「外側からの改変」と、気力による「内側からの強化」を同時に極限まで高めるのは不可能だ。回路が焼き切れる。……あいつは、自分の命をロウソクのように使い捨てて、一瞬の圧倒的な力を得ているのだ。
足臭:ガハハハ! その通りだジジイ! 寿命だの枯渇だの、後先考えてる奴に真の力は宿らねえんだよ! 喰らえぇ!
(足臭が地面を蹴る。その一歩だけで、大通りが半分吹き飛んだ。あまりの速度にすぎもんの反応が遅れる)
すぎもん:ぐっ……速……!?
(衝突の直前、横から巨大な影が割り込んだ。変身もしていない「ゆうにく」が、素手で足臭の剛腕を受け止めたのだ。凄まじい風圧が周囲を襲う)
ささ:……うわっ、危ないなぁ。ねえゆうにく、あんまり無理しないでよね。服が汚れちゃうよ。
ゆうにく:……(足臭を睨みつけ、低く唸る)うほ。
足臭:何だぁ、この猿は!? 俺のフルリミッター・パンチを止めた……だと!?
のあさん:……すぎもん。見ろ。ゆうにくはリミッターなど外しておらん。奴は、素の「気力」の底が深すぎるのだ。あいつこそ、本物の野生の怪物よ。
かなる:……(驚いたフリをしながら、冷静に分析する)すごいね、ゆうにく君。……でも、足臭君の魔力が暴走している。このままじゃ街ごと爆発するかもしれない。すぎもん君、君が……トドメを刺すべきじゃないか?
(かなるが「しれっと」すぎもんを危険な爆心地へ誘導する。足臭の身体は、魔力の過負荷で今にも弾けそうな爆弾と化していた)
すぎもん:……分かってる。ゆうにく、そこをどけ! 俺が虚空で飲み込む!
(すぎもんが虚空の斬撃を放とうと踏み込んだ瞬間、かなるの手が背中に触れる)
かなる:……(小声で)「黄金の落とし穴(ゴールデン・トラップ)」。
(すぎもんの足元が爆発し、斬撃の方向が狂う。狙いは足臭の核を外れ、建物の壁を削るに留まった)
足臭:隙ありだぁ!
(魔力の奔流を纏った足臭の拳が、すぎもんの腹部に突き刺さる)
すぎもん:ガハッ……!?
かなる:ああ! すぎもん君! なんてことだ、大事な場面でミスをするなんて……!
(かなるは嘆きながら、内心ではこの混乱を楽しんでいた。のあさんだけが、すぎもんの足元で爆発した「黄金の光」に、さらなる疑念を募らせていた――)
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