第1期 第3話 『泥を啜る道化』
【場所:ノモンホ要塞・第一広場】
(足臭を退けた聖サンクチュアリ軍だったが、城門を突破した先で待ち受けていたのは、変わり果てた光景だった。広場の中央、なつが捕らえた数十人の女性や子供たちが、魔法の檻に閉じ込められている)
なつ:ひゃはは!待ってたぜ、聖者様一行!……おっと、すぎもん。そんなに怖い顔すんなよ。お前がここを一歩でも動いたら、この檻の中に「愛欲の毒霧」を流し込む。こいつら、自分の欲望に耐えられなくて発狂しちまうぜ?
すぎもん:……なつ、貴様……!
のあさん:……卑劣な。戦士の誇りすら持たぬか。
なつ:誇り?そんなもんで腹が膨れるかよ!なぁ、すぎもん。お前、味方を斬るのが得意なんだろ?じゃあ、今ここで自分の左腕でも斬り落としてみせろよ。そうすれば、この檻の鍵を一本投げてやる。
かなる:……そんなの、あまりに酷すぎるよ、なつ君。すぎもん君、聞く必要はない。僕が何とかするから。
すぎもん:……いや、いい。(刀の柄に手をかける)
かなる:すぎもん君!?
すぎもん:……(低く呟く)俺一人の腕で、全員助かるなら安いもんだ。
(すぎもんが刀を抜こうとしたその時、背後から小石がなつの頭に当たる)
なつ:痛っ!?誰だ、クソガキ!
(広場を見下ろす屋根の上に、ささとゆうにくが座っている)
ささ:あはは、なつ。あんたの話、長すぎて飽きちゃった。ねえ、ゆうにく。あいつの顔、💩みたいじゃない?
ゆうにく:……(鼻を鳴らす)うほ。
ささ:だよね。ねえすぎもん、あんたも馬鹿正直に腕なんて斬らなくていいよ。僕が「隠密」で鍵を盗んできてあげてもいいけど……どうしよっかなぁ。
なつ:ガキどもが……!殺せ!野郎ども、あのガキを黙らせろ!
(なつの部下たちが屋根へ飛びかかるが、ゆうにくが一瞬で立ち上がる。変身はせず、ただの気力による威圧だけで、雑兵たちは恐怖で動けなくなる)
ゆうにく:……(低い声で)邪魔だ。
かなる:……(内心で舌打ちしつつ)ささ君、ゆうにく君!介入は危険だ、下がっていて!……みんな、僕を見て。僕が今、圧倒的な速さで鍵を奪う!
(かなるは「脚力アップ」のポーズをとり、事象改変で空間そのものを跳躍する。目にも止まらぬ速さでなつの懐に入り、鍵を奪い取った……ように見せた。だが、その瞬間にかなるは「黄金の落とし穴」をなつの足元ではなく、すぎもんの足元に仕掛ける)
かなる:よし、鍵を奪ったよ!すぎもん君、檻を開けて!
(かなるが鍵をすぎもんへ投げる。受け取ろうと駆け出したすぎもんの足元が爆発する)
すぎもん:っ!?(爆発の衝撃で鍵を弾き飛ばしてしまう。鍵はなつの足元へ転がる)
なつ:ひゃはは!ドジ踏んだな、すぎもん!鍵は返してもらうぜ!
すぎもん:しまっ……!
かなる:……すぎもん君!何をやってるんだ!せっかく僕がチャンスを作ったのに……!
(かなるの悲痛な叫びが響く。それを見た兵士たちや、檻の中の人々に絶望と怒りが走る)
救助を待つ女性:すぎもん……あなた、わざと鍵を落としたの!?私たちを見捨てるつもりなのね!?
聖軍兵士A:信じられん、かなる様の献身を台無しにしやがって!
のあさん:(……違う。今の爆発、すぎもんの不注意ではない。だが、どこから放たれた……?)
なつ:さあ、約束通り毒霧を流し込んでやるよ!
(なつがスイッチを押そうとした瞬間、すぎもんが叫びながら、己の体に深い傷を負わせることで気力を無理やり爆発させ、虚空を切り裂く。なつの指先を、空間ごと削り取った)
なつ:ぎゃあああ!?指が、俺の指が消えたぁぁ!?
すぎもん:……(肩で息をしながら)ハァ、ハァ……鍵は……もう一本あるはずだ。なつ、次はお前の頭を消す。
(なつは恐怖に顔を歪め、奥へと逃げ出す。檻は救われたが、すぎもんの評価は「鍵を落として犠牲者を出しそうになった無能」として地に堕ちていた。かなるは、すぎもんの背中を憐れむような目で見つめながら、心の中で薄笑いを浮かべていた)
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