第3話

東京・羽田空港

JALのA330型機が駐機場に待機していた。

閃光騒動から丸一日経ち、田原官房長官は臨時の記者会見を開き、現在状況確認中と発表して日本中の交通網の停止とガソリン類、エネルギー類の販売を停止した。


現在は日本の経済がほぼ停止している状態だ。


外交官の勝田はスマホを見ながら次々と流れてくる陰謀論にフッと笑う。

真実を知っている彼にとってそれは冷笑ものである。

しかしそれが真実かどうかは今から韓国に行かないと分からないものである。


韓国の宇宙船は攻撃を受ける可能性があるとして船員2人を残して本国へと帰っていった。


「久しぶりの外国だな」



韓国・金浦国際空港

どこから情報が漏れたのか空港の周りには何百人いや、何万人と人が100年前の飛行機を見ようと集まっている。

映像でしか見たことが無いその飛行姿を・・・



JALのA330型機は金浦空港の滑走路へと一直線に着陸していく

「おぉ!!」

周辺の人々は歓声を上げる


もう滅亡が近い彼らにとってこれは最後の喜びになるかもしれない


パイロットになって6年がすぎた機長は何回か金浦空港に着陸したことがあるが流石に100年となると風景が全く違う。

周りには工場らしき建物が乱立していた


駐機場にいた他の旅客機は似ているようで非なるもの

厳重な警護の元、外交官勝田は大統領府へと案内される。



その移動の際見てきたものは殺風景な建物の乱立する景色

これが100年後か・・・そうつぶやきたくなる景色だ



「ようこそ勝田外交官よ」

身長は180センチぐらいだろうか、自分より10センチほど高い。

その言葉は日本語であった


「我こそこの大韓民主共和国大統領リ・インヒである!」

「改めまして日本国外務省の勝田智之です」

「うん、よろしく頼むよ」



初日から混乱してしまった。

1日の脳の情報量は平安時代の一生分とか、昭和時代の何日分とか言うが、それどころではない。一生分の情報量を得てしまったのではないか。そんなところだ。

一回落ち着こう。


ポケットからワイヤレスイヤホンを取り出してスマホと接続。


「オフラインで聴けるように保存していてよかった」

音楽は人を楽しませる


「勝田さん、食事会の時間ですよ!」

「あぁ、もうそんな時間か」


イヤホンを取り外して身だしなみを整える

「すまない。今行く」



大統領の李はとても力強い男だった。

そしてとても日本語が堪能であった。

まだ大学生の頃に日本に短期留学していたそうで、そこで身に着けたようだ。


2日間の短期滞在を終えて日本へと戻った。


行った先々で手厚い歓迎にあった。


第三次世界大戦のときに韓国は北朝鮮を併合し、朝鮮の統一を達成した。

南北対立の象徴である板門店(パンムンジョム)はどこか寂しい雰囲気だった。


北朝鮮側の建物も残されていたが、老朽化が激しく中に入る事だけでなく、近づくことも許されなかった。


ここで双方の兵士がにらみ合い、殺し合いをしたのだろう。

時々見かける血痕が争いの激しさを物語っていた



勝田のカバンの手には未来兵器の資料と日本語に翻訳された歴史書などが詰まっていた。

そして別れ際に言われた「マジーンの連中は既に君らの存在に気付いているだろう。我々は守れない。気をつけろ」

その時の顔はどこか悲しそうであった。



勝田が持ち帰った資料は直ぐに各機関へ回された。

それだけでなく、種市は短時間で在日米軍を防衛省の指揮下にすることを達成。

さらには緊急事態宣言を発動し、段階的に防衛レベルと即応予備自衛官の招集を進めた。


所謂戦時経済である。


■カーミア分隊宇宙駆逐艦ケル型11番艦

メキシコでアメリカ軍と激闘を繰り広げ何とかアメリカカルフォルニア州を占領したのも束の間、カーミアが吹っ飛ばした日本列島が復活したと聞いて直ぐに移動の準備を開始する。



しかしそんな彼らに立ち向かう米軍


アメリカの戦時の戦闘能力は建国当初から変わっていない。

倒しても倒しても同じクオリティの兵士がやって来る。


アメリカが実用化していた小型宇宙戦闘艇は週10隻ペース、軽宇宙空母は月1隻ペース、宇宙巡洋艦は週2隻ペースで就役していたのだ。

これは地球にあるアメリカ本土での話である。


1隻の駆逐艦では手間取ってしまう。


一方でカーミア分隊の旗艦ラルゲフ型巡洋艦第4番艦では

カーミアを先陣にベルリンを占領、東西へと支配地域を伸ばしていたがロシアの広大なる大地とドイツ・フランスによる徹底抗戦戦略によって苦戦を強いられていた。


カーミアは侵略を停止し、占領地内の人間を全員捕縛して奴隷として巡洋艦へと積み込んだ。


「日本よりここを潰すべきだったか?」

カーミアは心に問いかける。

それは後悔でも焦りでもない。

「いや、いいだろう。存分に殺戮を楽しもうかしら」


彼女の目の前には縄で縛られた数十人の人間

彼女には理解できないが何かの言語を喋っている。


それは悲鳴、命乞いなどであろう


数秒。

檻の中の人間が絶命するまでにかかった時間だ。

彼女は人間の腕をちぎってかぶりつく。

美しき銀色の顔に血がべっとりと付着する。


「不味いな」


司令室に戻った彼女はメキシコに展開しているケル型11番艦より日本列島が復活したと報告を受け驚愕する。

「どうやって・・・」

しかしここを離れるわけ行かない。


占領地は徐々に拡大してきている。

もう少しでヨーロッパ全域を占領できるところだ

「カーミア様、どうされますか?」

「ケル型11番艦にそこを見に行くように伝えなさい。もし本当なら好きにしろと」

「分かりました」


彼女には何が起きたのかさっぱり分からなかった

「何故?」

目を瞑って考える。

腹立たしい

いや、もう艦載機を飛ばして先に見てもらおう

あの国にはもう攻撃する力はないはず


カーミアの乗る巡洋艦から2機の船外活動艇が日本へと向かうのであった

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