第2話

「はぁ・・・2026年から世界は忙しいですね」

日本歴代総理初の女性総理大臣の種市恵子は首相官邸のテレビに流れるアメリカのベネズエラ攻撃に頭を悩ます

「適切な対応をしてくれた外務省には感謝せねば」


2026年

世界では国家間の対立が激化し、一部では戦争も起きている世の中。

そんな日本も他人事ではなく、種市総理の元、防衛力の強化を進めている。


「大泉大臣、予定通りF-15JSIの新造量産機が納入しました」

「それは良かったです」


F-15JSIとはF-15J改をアップデートし、様々な能力を加えた型のことを言う。

2024年よりアメリカ本国、三菱重工と打ち合わせ、既存機のアップデートだけではなく、半分をJSIとして新造することが決定。

1月6日。数十年ぶりにF-15の新造機が日本の空を飛んだ。


そんな中でも日本では何気ない日常が続いていた

通勤通学に揉まれる人々。

しかし彼らを閃光が襲う


ピカッ!!


目を塞ぐほどの白い光が空を包み込む。

そして何の音も聞こえない無音の空間が日本列島を包み込む。

いや爆音だっただろうか

地震のような振動

気象庁の地震計には各地で震度3以上が観測されたことになっている。



「何事っ!!」

防衛省の大臣室から見えた光は大泉の頭に有事の文字が浮かぶ

「直ぐに指令を入れろ!有事の可能性がある」

「はっ」


直ぐに防衛省指令室から各駐屯地、基地、レーダーサイトに連絡が送られる。

レーダーサイト、護衛艦は見えていた。


空にいた無数の航空機が消失する様子を

直ぐにその件を報告。


この件は即座に在日米軍司令部へと繋がる。


自衛隊は状況発生から7分後に、那覇基地と三沢基地のE-2C早期警戒機が空へと飛び立つ。



その数十分後、強力な通信を防衛省は受信する。




大韓民主共和国

「李大統領、朗報です。マジーンの攻撃により消し炭と化した日本列島が復活したとみられます」

「な、なんだと?正気か?君はみたであろう。あの強烈な閃光を」

「はい。済州島と釜山の守備隊が日本の自衛隊を名乗る通信を傍受しました。」

「自衛隊だと?日本はとっくの昔に国防軍、いや日本軍と名前を変えたではないか」


「大統領。マジーンの攻撃により我々の科学では追いつかないことが発生しているに違いありません。直ぐに軍に命令を」

「うーん、しかしな、マジーンは既にドイツ、メキシコ、ナイジェリアの3つの国に1隻ずつ駆逐艦を着陸させておる。何を今更・・・」

「大統領、罠の可能性もあるかと」

「罠?そんなわけないだろ。我々に日本列島が復活したと見せておびき寄せて潰すのか?」

「えぇ」

「だがその日本からの通信が気になる。彼らが第三次世界大戦の前の日本など興味があるわけなかろう」

「ま、まぁそうですけど・・・」



韓国唯一の宇宙駆逐艦、大祚栄(テ・ジョヨン)が空へと飛び立つ。

勿論この行動はマジーンに検知されているだろう。

それでも被弾の可能性を極力薄くするために低空を飛行する。


轟音を立て対馬海峡を通過する


乗組員たちは絶句するであろう


目の前に現れた100年前の日本。

我々が憧れていた時代の景色、我々の先祖が愛し、旅した日本が目の前にあるのだ。



日本・福岡市


突如上空に現れた巨大な飛行体に人々は逃げまどう。

太陽が隠れ一気に夜となる。


しかし人々は気づく。

その飛行体にはデカデカと韓国国旗が貼られているではないか


何が起きているのか理解ができなかった。


市民は恐怖で立ち尽くすしかなかった。

航空機は離陸を中止し、直ぐにその空域から退避する。

自衛隊の防空システムは、その飛行体が大きすぎて飛行体と認識できず、スルーしてしまった。


外にいた市民は地下街・地下鉄駅へと逃げ込んだ。

そこへ通勤通学利用者と重なり、おしくらまんじゅうのようになりパニックになる。



航空自衛隊春日基地はその飛行体からの通信を傍受

基地司令はその内容に目を疑うのである。

直ぐに外に出て空を見る。


通信通り韓国国旗が貼られている


「と、となるとあれは韓国の宇宙駆逐艦と言うわけか・・・」


防衛省への連絡と共に、春日基地は独自にコンタクトを取った。

「船外艇を福岡空港に着陸させたい」




「大泉大臣、映像が・・・」

防衛省の司令室へと移動した大臣は映像に目を疑う

「なんだこれはAIで作られたフェイクか?」

「違います。福岡市に現れた韓国の宇宙駆逐艦だそうです」

「なるほど、この韓国の国旗を見るに、韓国だと分かる」

「えぇ、その通りです。彼らは福岡空港への船外活動艇の着陸を要求しています」

司令室では次々と情報が入る。


各駐屯地の連携が取れておらず、同じような情報が入ってきてパンクしそうだ。


「大泉大臣、統合幕僚部としては芦屋基地に陸自の部隊を集め、着陸させるのが良いかと」

「そうか、それなら君を信じる。直ぐに取り掛かってくれ」


『陸上幕僚部より第4師団司令部へ・・・』

『航空幕僚部より西部航空方面隊へ・・・』



1時間後、小倉駐屯地より第40普通科連隊の部隊が到着

芦屋基地では外務省より派遣された職員も待機し、着陸準備が整えられた。


韓国軍と名乗る宇宙駆逐艦から射出されたC-2輸送機ほどの船外活動艇が基地上空を横切った後、管制の指示に従って北側からほぼ垂直になだらかに着陸していく。


管制からは滑走路上で待機するように指示が出され、そこへ武装した自衛官がLAV(軽装甲機動車)に乗り近づいていく。


「あれは宇宙服か?」

双眼鏡で眺めていた第40普通科連隊の本部管理中隊の隊長が呟く

船外活動艇から出てきた人間の顔はまさしく韓国人、人間の顔だった。


1人の外務省職員が下りて彼と会話を始める。

職員と船員は安心したのか顔には安堵の表情が浮かぶ。

暫くして数人と降りてくる。


待機していたLAVに乗せ、あらかじめ用意していた臨時の会議室へと案内する。

基地内じゃ安全保障上危険なのでT-4を格納していた格納庫を使って設営した。


「な、なんだこれは・・・」

彼らが取り出したタブレット端末は映像が浮き出ていた。

我々が想像する未来技術そのものであった。


それを自慢げに見せてくる


彼らが語った内容は第一話で起きた通りだ。

その場にいたすべての人が戦慄した。

翻訳役の職員や韓国語を喋れた自衛官は恐怖で震えていた。


中国の最新兵器で幻覚でも見せられているのではないだろうか

しかし現実は無情

目の前に展開されたタブレット端末は妙に現実味を帯びていた。



「種市大臣、お疲れ様です」

「そちらこそお疲れ様です。大泉大臣。既に防衛省は全容を掴んでいると言っても?」

「はい。有事に近い事案です」

「そこまでなのか?」

「えぇ」


椅子にふんぞり返るのは田原官房長官である。

まだ事の重大さを分かっていないようだ。というか田原官房長官はちょうど仮眠を取っていたとこであり、閃光を見ていない。


「彼ら、いや韓国によると今は2150年、我々は約100年後の世界に来てしまったとのことです」

会議室がざわめく

「映像で見せた方が早いですね」

そう言ってテレビに韓国が提供した映像を直撮りであるが映し出される。

そこには今までの歴史が韓国語であるが写真・映像付きで流れていた。

「そして2日前にマジーンという宇宙人によって日本列島は吹き飛ばされたようです」

「はぁ?」

田原官房長官が困惑する

「勿論私もです。しかしここは状況確認のために外務省より外交官を派遣し、状況を確認するしかありません」

「八木さん、手配できます?」

「勿論、直ぐに実行します」

八木は満更でもなさそうな顔で了承する。


防衛装備庁で研究員をしている鎌田は送られてきた映像に興奮を隠しきれない。

漫画やアニメでしか見たことが無い空想上のモノが見れるのだ。

彼は直ぐに上司に頼み、現地調査を申し出たが余計なことはするなと却下された。


その日は直ぐに自分の家へと帰り、押し入れの中から中学、高校、大学と集めてきた漫画やアニメに出てくる宇宙戦艦の解剖図から大学生の時サークルで作った、もし宇宙戦艦を作るならと言う本を読み返す。


それがフェイク映像だったとしても、彼には幸福しかなかった。

いやフェイク映像なわけない。

彼の考えは政府の緊急事態宣言によって確信へと変わる。


居ても経っても居られず、直ぐに上司に「自分を宇宙戦艦開発チームに入れてくれ!お願いだ!」普段落ち着いて過ごす鎌田の余りの興奮ぶりに上司は押され、渋々了承してしまった。


彼の宇宙戦艦の夢はすぐそこへと来ていた








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