六夜 げーむのはなし

その日も有紗は、夜、河原のベンチにいた。


「こんばんは」


「あい、こんばんは」


短い挨拶をして、俺はベンチにどしっと座る。


「今日ね」

有紗の口が動く。


「弟とゲームしたんだ」

前に聞いたが、有紗には、歳の離れた7歳の弟がいるらしい。


「ほう、何のゲーム?」

自慢じゃないが、俺はゲームには詳しい方だ。

目に力を入れ、しっかりと有紗の目を見て聞いた。


「マリモカート8!」

マリモカートとは、個性豊かなマリモたちが、カートに乗ってレースをするゲームだ。


「ふむ。なかなか良いセレクトだな!」


「そうじゃろ!わかっておるの!」

有紗が腰に手を当てて、胸を張る。


(もし実力者ならば、一度手合わせを申し込んでみるか……。

今度ゲーム機を持ってこよう)



「して、勝敗は?」


「11勝9敗ってところかな」


(うーん……微妙)


冷たい風が草原を抜けて、二人の髪を揺らす。

小ぢんまりとした有紗の肩に、草の種が張り付く。

すぐにまたそれを風が拾っていった。



そうやって、

その日の夜は更けてゆく──。

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