二夜 ちゃーはんのはなし

その日も有紗は、夜、河原のベンチにいた。


胸のスイッチを押しても眠れないことを確認すると、俺の足は早々に河原へと向かい、今に至る。


朝の内にサポートセンターに問い合わせることもできたのだが、何故だろう、俺はそれをしなかった。


俺は、有紗との夜のひと時を、もう少しだけ、楽しみたかったのかもしれない。



「有紗!」


「おーっす。朋也」


短い挨拶をして、俺はベンチに腰掛けた。



「今日さ」

有紗が口を開く。



「チャーハンつくったんだけどさぁ」


「めっちゃ美味しくできた!」



「ああ。そうなんだ」

俺は短く相槌を打つ。



「いつもはフライパンに米をぶち込んでから、卵を入れてるんだけど、今日は先にご飯に混ぜ込んでから炒めたの!」


「卵でコーティングすると良いとかって聞くよな。

それかな?」


「うん!」

有紗が目を細くして、満面の笑みを見せる。


「とにかくね!

ご飯がパラパラで、すぅ〜〜っごく、美味しかったの!」


「それは良かったな」


有紗の嬉しそうな顔を見て、自然と俺の口角が上がる。



そうやって、

その日の夜は更けてゆく──。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る