イギリス人は本当に傘をささないのか

オリーゼ

イギリス人は雨の日に傘をささないのか

 結論から言おう。

 観測範囲のほとんどで普通の雨で傘はささない。

 ただ、これはイギリス人に限ったことではない。

 私もイギリスに滞在していた時は傘をささなかった。

 ウィンドブレーカーのフードを被っておしまい。

 ウィンドブレーカーで防いで部屋に入ってパッと払ったら乾いている。

 なぜなら雨がとても軽いのだ。

 雨が軽い、というのの説明が難しいのだが、日本では霧雨でもじっとり濡れて不愉快さが残るという感覚は皆さん納得していただけると思う。

 湿気ると言ってもいい。イギリスの雨はそういう感覚になる雨があまりない。

 じっとりした雨をうちのまわりではheavy rainと呼んでいた。じっとりしない雨はlight rain。訳せば土砂降りと霧雨みたいな感じだけれど、イギリスの雨を体感すると重い軽いというのがしっくり来る。

 というわけで、最初に戻る。

 傘をささないわけじゃあない。heavy rainの時はさすと思う。傘だって持っている。ただそんなにそういう雨が降ることがない。

 ものすごい長期滞在していたわけではないから、自信はないが私の周りではそうだった。


 さて、ではイギリス人は日本では傘をさすのかという話になってくる。

 人による。日本に来たばかりのイギリス人はささない人が多い。

 だが、多分彼らは日本のヘビーレインで洗礼を受けるのだ。

 私はサッカーがまあまあ好きで若い頃はスタジアムに行ったりしていた。で、友達が「もらったんだけどあげる」と言ってチケを2枚くれたんで、マンチェスターユナイテッドと東京FCの練習試合に行けることになった。いやレアルだったかもしれない。

 で、その時に一緒に行ったのがイギリス人のヴィルくん(仮)である。サッカー好きだというし、私はその当時「炎の英雄シャープ、全DVD購入特典おまけスペシャルDVD(非売品)※なおイギリス国内のチェック(小切手)がないともらえない」をなんとしても入手してもらいたかったので、うれる恩は売る心意気で下心満載で誘ったんだったとおもう。

 彼は日本に来て間もなかった。

 その試合の日は土砂降りだった。ベッカム見られるんじゃなきゃ、サッカー観に行くのを戸惑うような土砂降りだ。

 だが彼は傘なしできた。

 せめてカッパを買ったらどうだい?と勧めたが、彼はサッカーに傘やレインコートなんて邪道であると聞き入れなかった。

 試合が終わる頃にはびちゃびちゃだ。

 スーツの裾から水が滴ってものすごいことになっていて、東京FCが思いの外頑張っていたけれど、シャバい試合だった記憶はうっすらあるんだが、正直試合のことはなんも覚えておらずらびしょ濡れのイギリス人だけが私の心に残った。

 そして、彼も流石に思うところがあったらしい。

 雨が降ったら傘をさす人に変わっていた。

 余談だが無事にシャープのDVDも手に入れられた。


 この話には後日談がある。

 ヴィル君にはベアさん(仮)という同僚がいて、3人でよく飲んでいた。

 その日も3人で飲み、店を出ようとしたら結構な雨が降っていた。

 ヴィル君だけが傘を持っていた。学んだからだろう。しゃーなし濡れるかと思った私を止めるベアさん。

 そして、ヴィル君からその傘を引ったくって

「男なんだからいらないわよね。ほら入りなさいオリーゼ」

 と、すたすた歩き始める。

 せっかく傘を持っていたのにヴィル君はまたしてもびしょ濡れになり、私はヨーロッパのレディーファーストがどうやって作られるのかなんとなく学んだのだった……。


 ※名前が思いつかなかったので拙作のベア姐さんとヴィルにしておきました。


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