第5話

 帰りの電車ですぐさま僕はスマホを取り出し、調べた。

 未成年者誘拐は十八歳未満に適応されるらしい。その場合本人の同意があったとしてもお縄になるそうだ。

 つまりひよりが十八歳未満なら即アウト。有無を言わさず警察に捕獲されるというわけだ。

 僕は頭の中でひよりを再現した。身長、体重、骨格。そのどれもが十八歳にはほど遠い。

 まあ雰囲気とかは大人びてた気もするけど、今の子供はそんなのばっかりだしな。

 もしひよりがうちにいるところを誰かに見られて通報されたら……。やばい……。

 僕が震えていると隣に座った学生風の青年がスマホを取り出して動画を見だした。

 それはゲーム実況だった。有名なゲーマーがライブでゲームをしている。

 今ゲームはするというより見る時代だ。有名なゲームにばっかり人が集まり、そうでないゲームは日の目を見ない。

 人気になるにはインフルエンサーがやる必要があるけど、そんなのは一握りだ。

 僕が作ったゲームなんてもう誰も買ってないし、やってないだろう。

 大手メーカーに入ればみんながプレイしてくれるタイトルに携われる。だから勉強したけど、それは無駄に終わった。

 いや、今はそんなことどうでもいい。問題はひよりだ。どうにかして年齢を確かめないと。

 でないと僕の始まってもいない人生が終わる。



 スーパーでいつもより多く弁当や惣菜を買うとアパートに帰った。

 とりあえず身分証を見せてもらう。話はそれからだ。

 そう思いながら玄関のドアを開け、靴を脱いだ。

 すると浴室と洗面所の扉が開き、中からひよりが出てきた。

 しかも生まれたままの姿にタオルを一枚巻いただけで。

 胸のところは僅かに膨らんでいるだけで、ウエストはタイトで腕と脚も細かった。

 濡れたままの長い髪を揺らし、ひよりは僕に気付いた。

「あ。おかえり」

 フリーズしていた僕にひよりは何事もなかったかのように声をかけた。

 僕はすぐさま振り返り、玄関から外に出て、ドアを閉めた。

 心臓がバクバクと鳴っている中、頭は妙に落ち着いていた。

 そ、そうだよな。家に泊まるってことは風呂にも入るよな。チャイム鳴らせばよかった。いや、風呂場だと返事できないか。いや、ていうか、えっと、女の子のあんな姿初めて――

「どうしたの?」

 ドアの向こうからひよりの不思議そうな声が届いた。

「ど、どうしたのって。そ、それより服着ろよ」

「ああ。わたしのセクシーボディーを見て照れちゃった?」

「本当のセクシーボディーに謝れ! と、とにかくちょっとコンビニまで行って来るから、その間にどうにかしといて。じゃあ」

 それだけ言うと僕はコンビニに向かった。

 何度頭を振ってもひよりの姿が網膜に張り付いて消えなかった。

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