CAFinvoice(所長と社長)
CAF invoice (社長と所長)
一旦、報告書の為に事務所のビルに戻る事に。
入口のドア前に立ち中に入りかけたところで、誰かの話声が聞こえて足をとめた。
「何も、消すことは無かったのでは?」
「だって嫌だもん。残業増えまくって、周りみんな余裕無くなって、挨拶もシカトされるようになるのー」
――――最初に口を開いたのは事務所長 英賀仁郎(えいが じんろう)。
短髪と、目元に皺のある優しい顔立ち。最近少しやつれている。
対し、テーブルを挟んで向かい合っているのが、麻十寺 陸五郎(あさじゅうじ むつごろう)社長。警察機関の提携する警備会社社長だ。
ワックスでお洒落に固めた髪。スタッズの付いた派手なスーツを着ている。
子どもっぽいというか……我儘なところが目立つボンボン。
地位的には彼の方が上である。
「ぼくね、あらかじめ用意している答えは無難だから問題無いけど、その場で考えながら語る事は正直すぎて、ボロが出過ぎてしまう。そうなるとみんなにも示しがつかなくなる。
マニュアル対応出来ないものなんか。ぼくが使えないから、いーらないっ」
何の話だろう?
どうする? と色や橋引と目を見合わせて相談する。
「ね。心読んでみて。気になる」
橋引がこそっと提案してくる。
「喋ってるときには使いたくないんだ」
俺はそう言って、もう一度ドアの向こうを見た。
麻十寺社長は、やだやだと足をばたつかせている。
「ていうかまさかあんなに人格否定されるなんて思って無かったんだよ。一人に言われたら周りのやつまで実はそう言う事思ってたのかもって怖くなって、居づらくなったし。その意味で怒りが収まらん」
「社長……」
「かなりきつい事を言われて、くやしさや悲しさで涙出て来た。ほんと無理ーぼくを傷つける奴が居るなんて、世も末だ」
「だからって、此処からの資料の横流しや独断での削除は、限度を超えています」
「西尾君も同じ気持ちだったんだよ? ぼくだけのせいじゃない」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます