aimed at precsison(キノコが悪い?)
藍鶴色と出会い、前の会社を辞めたある日のことだ。
ポストに、見知らぬ札束が置かれていた。
……?
さらには聞いたこともない、エントリーもしていない、会社の説明会案内が送られてきていた。
「――超……能力?」
普通なら不気味に思うところだ。詐欺を疑うべきだった。
なのに、いろいろと混乱していた俺は、
『占い師ってキライなんだよねー!』
『――頭の中で映像を見れるんでしょ?じゃあ、ぼくを見てくださいよ。天才さん』
「……警察?」
封筒にある、やけにしっかり印字された警察のマークを眺めたりしているうちに――それらに手を伸ばしてしまって……結果として、現在に至る。
とはいえ別に好奇心だけが理由では無い。
その会社は、俺が会社をクビになった原因でもあり、普段はひた隠しにしてきていた、超感覚的知覚のことを、能力を――
なぜか、知っていたのだ。
……
「ただいまー」
仕事をや報告を終え、アパートに帰ってくる。
ドアを開けるなり、部屋の奥からえずくような声。またかと洗面所に向かうと、案の定色がそこで吐いていた。
「なんだ、先に帰ったのか」
背中をさすりながら、ただいまと言う。
彼はおかえりとは言わなかった。
彼は最近毎日吐いている。
何があったかは大まかにしか知らないが、
最近やけに呼び出されているなと感じる。
そっと体に触れると、伝わるのは、酷い拒絶、恐怖心、不信感。
「…………」
危ない、とわかって居ても、彼はその世界に身を置いている。
それ以外に自分を生かせる生き方を知らない。
とはいえ――やっぱり柳時さんの案件は際立ってエグいな……
求人も表にだせない、胡散臭い会社の連中に仕事が来るのは、警察にカオが効くという柳時さんが、ここを密かな情報筋として使ったりするからでもあるのだが……
「リュージさんって不思議だよな」
「何が?」
色が、俺の方を向く。
まだ青い顔をしているが、少しは落ち着いたらしい。
「いや、何処にも情報が無い筈なのに、いつの間にかウチまで来てるなんて。あの頃って本当に、警察内部すら知らないだろ?」
「あぁ、それ、俺も疑問に思って一度聞いた事がある。なんて言ったと思う?」
彼は俺の答えを待たずに答えた。
「『それに関してはキノコが悪い。彼奴が此処によく寄ってるって聞いて。俺も対抗して此処に寄ろうと思って探してね』
――――との事で、リュージさんが此処や俺達をわざわざ探したのって、実は、キノコが原因らしい。でも、何の話だろう……『怪しい薬でも飲んだのかな?』」
「さ、さぁ」
ますますわからなくなってしまった。
キノコ?
「もしかして、そのキノコって人名か何かの事じゃないか?」
つまりキノコに巻き込まれた形になるのか……
いや、どういう事だ。
「嫌いな食べ物は茄子とトマトって言ってたけど」
色は、何か言いかけて口を覆った。
「うぅ……、ごめん。まだ、気分悪い、かも。吐きそう」
お茶……と色が呻いたので、俺は台所の方に向かう。
「ほれ、お茶だ」
湯飲みに入ったそれを手渡すと、ダイニングに着いた彼が、潤んだ目をしながら受け取り口を付けた。
「おまえはお茶が好きだったよな。煎茶……美味しいか?」
こく、と頷いたそいつは、やがて、だっと走り出して、俺のラジコンカーへと向かう。何かあると物を解体するのは、そろそろやめていただきたい。
「こーら」
背中を掴み、抱き締める。
彼はぴたりと動きを止めた。
「……」
震えている。
「そっちは、だーめ」
「……や」
「俺がいるのに、機械を壊す方が楽しいわけ?」
ぶんぶんと首を横に振る。少し安心した。
正面から抱き締めて、もう吐き気はないかなど聞いてみる。
「ない……」
「そうですか、っと」
無理矢理抱えると、近くのソファーに座らせる。
「かいせ……」
お茶を飲みながら不安そうにするそいつが愛しい。
「お前には怖いもんが沢山あるのだろうから、無理に笑えとかは言わんが、もう少し、俺に預けてくれないか」
彼は、答えない。
「そんなにやばい山なのか?」
具体的に尋ねると、彼はじっと俺を見る。
「この前の、連続失踪事件の続き」
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