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プレートアーマーに身を包む騎士は十人はいた。王の下で働くという黒い服の男もいた。彼は本来の二倍の税を徴収していたことにその男は気付き、こう言った。
「このままでは土地を取り上げることになりますぞ」
メイドや若い衛士、キャルナークは無言を貫いた。
騎士に胸倉をつかまれ町の広場に置かれたキャルナークは、一日そこで放置された。町人は思い思いに石を投げつけ、日々溜まった鬱憤をキャルナークにぶつけた。
その次の日、騎士はキャルナークを監視しつつ、屋敷にある金目のものを懐に仕舞い始めた。かつて襲ってきた盗人が盗り損ねた宝石、親族が隠してあった金貨などである。黒い男はそれを止めなかった。
メイドにも手を付け始め、またも屋敷は悲鳴が絶えなくなった。
朝、昼、夜。
全てにおいてキャルナークは無表情だった。若い衛士は牢におり、騎士に囲まれ唾まみれのキャルナークにメイドたちは近付くことすら許されなかった。
それでもキャルナークは村と街から二倍の税を取り続けた。黒い男に気付かれぬように、街の男や女には必ず一つは殴られた跡や剣の筋があった。
黒い男は気付きつつも止めなかった。
キャルナークの十九歳の誕生日、メイドは豪華な食事を作ってキャルナークと若い衛士を除く屋敷の人間に振舞った。酒を出し、肉を出し、屋敷からは町人が羨ましがる匂いであふれた。
あくる朝、十数人の死体が広場に捨てられていた。
キャルナークは懐妊したメイドを王のもとへ遣いとして送りだし、翌月にはキャルナークの元に紋様の刻まれた鎧が届いた。すぐにキャルナークは商人を呼び、売り払った。
手元に来たのは金貨三十枚以上の大金である。しかし、キャルナークはその過半を王に納める必要があった。僅かに二枚、それはメイドと若い衛士に分配させた。
その後、キャルナークは病に倒れ高熱を患った。
王から派遣された代官は顔にデキモノが多くある人間で、しかし町はそれを大層喜んだ。
動くに動けないキャルナークの周りには五人のメイドがいた。身体に無数の痣のある彼女らは、同じく、いやそれ以上の痣をもつキャルナークを甲斐甲斐しく世話をした。
代官がデルグの街を収めている間、町人の多くはそれを祝って華やかな祭りをするようになった。闇に包まれる屋敷から見える街は非常に明るく、キャルナークはそれを一瞥した。
「あれは?」
傍に居た若い衛士は無言を貫き通した。
熱病にうなされている間、屋敷にはキャルナークを蔑む言葉を投げる人間が一人はいた。窓を閉め切り、扉は鍵を掛けられ、しかしながら何度も何度も侵入する町人によって屋敷の中は一つ一つ軽くなっていく。
そのほとんどがメイドの私物であった。
キャルナークが熱から回復したとき、彼の頭髪は白く変色し記憶も曖昧であった。記憶は徐々に戻っていったが、頭の白さだけはどうしても元に戻らなかった。
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