第十二話 ニート共闘、三秒決着
クローゼットの闇から這り出してきたのは、地下四階の隠しボス『虚無の捕食者(ヴォイド・イーター)』だった。 形のない泥のような闇が、俺の部屋の壁や天井を侵食し始める。
「どけ! 焼き払ってやる!」
俺は『レーザー懐中電灯』の出力を最大にして放った。だが――。 「……なっ、吸い込まれた!?」 光線はボスの闇に飲み込まれ、逆にボスが巨大化する。
「バカね、光属性を吸収するタイプよ!」 アキラが叫びながら、猛烈な勢いでキーボードを叩く。 「今、ボスの内部コードに干渉したわ。……核(コア)の座標を右30センチに強制固定! 今よ、物理で殴りなさい!」
「物理か……ならこれだ!」
俺は『ダマゾン』で一瞬で取り寄せた『業務用・超大型扇風機』を床に置いた。 《パッチ適用:【次元を切り裂く真空刃(バキューム・エッジ)】》
「吹き飛べ!」
スイッチを強(強)に入れる。 凄まじい暴風が部屋を吹き荒れ、アキラのノートPCが飛びそうになるのを彼女が必死で押さえる。 真空の刃が闇をズタズタに切り裂き、剥き出しになった「核」を俺の『漆黒の木刀』が粉砕した。
「ギ、ガァァァァ……ッ!」
ボスは断末魔と共に消滅し、部屋には大量の魔石と、最高級の換金素材が転がった。
「……はぁ、はぁ。……部屋、めちゃくちゃじゃない」 アキラが乱れた髪を直しながら、呆然と部屋を見渡す。
「……お前のハッキングがなきゃ詰んでた。……サンキュー」 俺はボソリと礼を言い、魔石の半分をアキラの足元に投げた。
「……フン。これ、不法侵入の慰謝料として貰っておくわ。あと、今日からここ、私の『第二拠点』にするから」
「はぁ!? 出ていけよ!」 「嫌よ。この効率、外のダンジョンじゃありえないもの」
最強の「武力(ニート)」と、最強の「情報(ニート)」。 最悪の相性の二人が、同じ屋根の下でダンジョンを独占する共同生活が、なし崩し的に始まった。
引き籠もりニート自室ダンジョンで最強になる~俺だけ最強の装備やアイテムで世界最強に!? 仮実谷 望 @Karimin
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