第9話 Dランク昇格後、初めてのSランク布石依頼と仲間の絆


カルナスの町に朝の光が差し込む。

川谷ゆうじはDランクに昇格して初めての朝を迎え、胸の高鳴りを隠せなかった。

「これから……もっと大きな冒険が待っている」


ギルドの掲示板には、新たな依頼が次々と掲示されている。

Fランク時代では手が届かなかった、大規模な討伐や護衛依頼も見える。

「Sランクの依頼も、そろそろ目に入るな」

ゆうじは心の中で静かに笑う。


ギルドの広間で、サフィアと顔を合わせる。

「今日の依頼は少し難しいけど、二人なら大丈夫」

彼女の笑顔に、ゆうじは力強く頷く。

「はい、頑張ります」


今日の任務は町外れの小村で発生した、山賊の襲撃対応。

報酬は高額で、Sランク依頼の布石となる可能性がある。

「これは……いい経験になる」

ゴールド稼ぎとスキル成長、両方を兼ねた絶好の機会だ。


森を抜け、村に向かう道中で、ゆうじは転移スキルを活用して小道を

ショートカットする。Fランク時代では考えられなかった速度で村に到着する。

「このスキル、本当に便利だ……」

一人で感心しながら、胸の中に自信が芽生える。


村に着くと、山賊がすでに村を荒らしていた。

村人たちは恐怖に怯え、逃げ惑う。

「よし……戦略で挑む」

ゆうじは変換スキルでステータスを最大限に引き上げ、戦闘準備を整える。


サフィアと連携し、二人で山賊を退ける作戦を実行する。

転移で敵の死角に回り込み、サフィアが魔法で支援。

Fランク時代では考えられなかった戦術が、確実に成果を生む。


戦闘の最中、リオ・ヴェルンが遠くから観察しているのが目に入る。

「ふん……Dランクでもやるな」

挑発めいた声が耳に届き、ゆうじの心にさらなる闘志が湧く。


山賊を全て退けると、村人たちは歓声を上げて感謝する。

「ありがとう、勇敢な冒険者さん!」

笑顔の村人たちに、ゆうじは自然と笑みを返す。

報酬として得た高額のゴールドを、変換スキルで能力強化に回す。


筋力、体力、素早さ、知力――全てが着実に上昇する。

「これで、さらに戦える」

Fランク時代には想像もできなかった成長が、確かな手応えとして体に宿る。


村を救った後、サフィアと共に帰路につく。

「今日も無事だったわね」

微笑むサフィアに、ゆうじは少し照れながら頷く。


帰還途中、リオが現れた。

「……今日は手を抜いたわけじゃないな」

視線に認める光が宿る。二人のライバル関係は、確実に次の段階に進みつつあった。


夜、ギルド宿で一人、ゆうじは今日の出来事を振り返る。

「転移も変換も、戦略と組み合わせればこんなに役立つのか」

Dランク昇格、初めての大規模依頼、ゴールドによる大幅成長――

すべてが次の冒険への布石となる。


国外追放から始まった川谷ゆうじの物語は、仲間との絆、

ライバルの存在、そして自らのスキルを駆使した成長で、着実に加速していた。

異世界アストラリオでの冒険は、まだ序章に過ぎない。

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