アストアースト
シバカズ
アストアースト
地球とは太陽系に属する惑星で、人類が住むほぼ球形の天体。水と空気に恵まれ、多くの生命体が存在する。
——と、古い文献には記されているが、現代人にとってこの地球という星は存在したかどうかも疑わしい幻の惑星であった。
しかし、この星の存在に幻想を抱く者は多い。
今、公文書館で地球について調べていたアストという青年もその1人であった。
太陽系の存在は周知の事実であるが、その周囲を回っている惑星は7つである。
もし地球が存在していたという証拠を掴むことができれば、その影響は天文学や宇宙物理学に留まらず、全ての既成概念を根底から覆すことになるかもしれない。
アストは天文学の中でも惑星の歴史に興味を持った。
惑星には分類方法があった。水星・金星・火星は高密度惑星。そして、大きさはあるものの密度が小さい木星・土星・天王星・海王星のような低密度惑星。
地球が存在する要素としては高密度惑星であることが絶対条件なので、一説には火星が地球ではないかという議論が巻き起こった。
そこで火星探査を集中的に行なった時期があったのだが、火星には人類どころか生命反応すら無かったという。
アストはもしこの調査が
星1つを精査するとあり、資料や記録は膨大であった。
半径3396km。
地表温度マイナス140度から27度。
公転周期687日。
ここで最も地球に酷似した資料を見つける。
それが火星の自転周期24時間37分、地球の自転周期と考えられている時間とほぼ同じなのだが、その他の情報がこの星は地球ではないことを裏付けている。
しかし、アストはこの星を調べる過程で興味深い情報をキャッチした。
それがテラフォーミング計画。火星を地球のような環境に変え、人類を移住させる計画である。
どんな権力が裏で働いていたか知らないが、火星を地球とすることで、くだらない幻想者たちの夢を終わらせるつもりらしい。
現段階で火星に生物はいないと公表されているが、進行中の地質調査で地下深くに水の存在が確認されようとしていた。
アストの目的は、いつしか火星は地球ではないという絶対的な証拠収集にシフトしていた。
直径や重力は地球の半分程度で、衛星の数も違う。何より大気構成の比率によるバラつきが大き過ぎる。
しかし、無いものを有ると認めさせるよりも、有るものを無いと認めさせる方が遥かに難儀だった。
所詮地球は空想の産物で、その存在は有にも無にもできる。
だが、地球について公文書館を始め、世界各地に資料が点在している以上、何か元となる起源や発端があったはずなのだ。
アストは地球に取り憑かれていった。
半径6378km。
地表温度マイナス90度から60度。
公転周期365日。
自転周期24時間。
そんな惑星太陽系には存在しない。
しかし、地球について調べるアストに
古代の文字と思われるが、「EARTH」この意味を調べると大地の意という。しかし、読み方が分からない。
亡くなった父親も、最期まで地球の存在に
寝言でも、よく分からない
起きた時、父に尋ねても首を捻っていた。
アストは試しに父の戯言、アースについて調べた。
アースとは電気機器と地面の間に電路を作り、電気を大地に逃がすこと——とある。
ここでも大地という言葉が出てきたことから「EARTH」の読み方は「アース」であり、アースは大地を意味することが分かった。
これをきっかけに、アストはとんでもない仮説を打ち立てた。
地球とはアース、アースとは大地、そして、大地とは自分たちが立っているこの星そのものではないか。
アストは地球の表面に手をつき叫んだ。俺たちが探し求めていたものは、天に無く地に有った。俺たちこそ地球人だったのだ。
完
アストアースト シバカズ @shibakazu63
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