2. ファーストコンタクト
禁断症状が出るほど私はスーツ好きでもスプラッタ好きでもないはずなので、考えられるのはおばけという存在だ。……“幽霊”ではなくあくまで“おばけ”だ。なぜなら彼は、幽霊ほどこの世に未練があるような気味の悪い雰囲気を持っていない。別に私も霊感があるわけじゃないから幽霊を見たことはないのだけれど、それでも平仮名でおばけと呼ばれるべき存在だと感じるほど、当たり前のように、能天気な様子で、何食わぬ
まあ要は何の害もなさそうだということだ。違和感は凄まじいけどもうほっとこう。
そう心に決めた矢先。
(さっき私を指差してましたよね)
「………」
声はないけど何を言っているのかわかる感じはなんて表現したらいいんだろう。マインドコンタクト? コネクト? なんでもいいけどなんで話し掛けられてるんだろう。
芽里は彼女、とてもマイペースな子なので好きにバイキングして好きに席を選びに行った。私を置いて。
しかしだからといって食堂にオンリーなわけじゃない。声をだしたら独り言になってしまうのでは。
(ねえお嬢さん)
とりあえず無視を決め込む。
(奥さん)
奥さんじゃねぇ。
(……応えてくれないと脱ぎますよ!)
いやどんな脅しだよ。「好きにしてくれ…」
これくらいなら問題ないかと口に出す。勝手に脱いでくれ向こう向いてるから。
彼は私の言葉に嬉々として、なんだ聞こえてるじゃないですか!と伝えてきた。
(私の話をするのはやめてくださいよ)
調子は嬉しそうなままだから振りにも聞こえる。勿論そんなつもりはないのだろう。
(……ねえ。聞こえてるんでしょ)
聞こえてますが無視します。もう人に話す予定もない。問題ないはずだ。
(奥さん!)
どうしてその呼び方が生き残った。奥さんじゃねえよ独身だよ。
(応えてくれないと脱がしますよ!)
「なんでよ!? やめてよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。