解決
太陽が一番高く昇ると、さらに暑さを増し、そのまま傾き始めた。
吾輩のお腹が、昼食時間を過ぎたことを告げている。
それでもなお、二匹は姿勢を変えようとしない。
(昼の貢物をもらいに行くか)
吾輩は「今日は何にありつけるかなぁ」と、ウキウキ気分で商店街に向かった。
いつもの時間を過ぎてしまったからか、人間たちは午後からの仕事に戻ってしまったため、お腹は満足に満たされていない。
「あの二匹を見てきたせいで吾輩がこんな思いをするなんて…」
そんな恨み節を口にしながら、アパートに戻ると
「っ!?」
驚いた。まだあの姿勢のままの二匹がいる。
(ずっと、そこに居続けているのか?)
口を開けたまま、吾輩はその場に立ち尽くす。
その時、
「えーっ、嬉しい。じゃあ今日はパスタね。」
そんなネトッとした、艶のある、耳にまとわりつくような不快な声が聞こえてきた。
目を向けると、アパートの階段を、人間の雌が雄の腕に手を絡めながらピッタリと寄り添って降りてきた。
真っ赤な唇で、キャハハッと笑っている。
(喰われそうだ。同族の口裂け女のようだな)
そんな感想を持った。
口裂け女はソラの近くの男の子に近づき、
「やだ、またこの子ったら野良猫を触って。ちゃんと手を洗ってから家に入りなさいよ。
じゃ、ママはお仕事に行ってくるから、留守番よろしくね。」
そう言って、たいして目も合わせないまま手だけを振って立ち去った。
吾輩の開いた口はさらに大きく開いた。
(危ない。顎が外れるかと思った。
なんと、あれはこの子の母親か?
母親が家にいるというのに、あの子は何時間も外で座り続けていたのか…)
何となく、ソラのあの表情の意味がわかった気がした。
(よし、吾輩の好奇心も満たされた。これで一件落着だな…)
そうして、アパートを後にした。
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