三通目
【三】
2114年10月4日
あかりへ
手紙、読んだよ。
突然のこと過ぎて、最初はすごくびっくりした。
本当のことを言うと、最初はすごく怒ったんだ。「なんで、何も言わずに勝手に行っちゃうんだ!」って。
でも、テレビを見たり、母さんに話を聞いたり、父さんに相談したり、先生を問いつめたり、それに自分で勉強をしているうちに、ようやくわかってきたんだ。
あかりのお父さんとお母さんが、どれだけ大変なことをしようと、がんばっているのか。そして、あかりがどれだけ遠い所に行っちゃったのかも。
星には寿命というものがあるんだってね。
地球もいつかは住めなくなる日が来るかもしれない。だから、僕たちが生き残るためにも、あかりが行った「惑星間移住」は、すごく大事なことなんだってことが、ようやく最近になって、なんとなくわかってきた気がするんだ。
あかりがいなくなったのが小学4年生の時だったから、こっちではもう2年半くらい経っています。
僕も今年、中学受験をするかどうか迷ったけど、公立に行くことに決めたよ。コースケやめぐみは私立に行くんだって言ってて、塾に通ってて最近は遊べていないんだ。
教室は、あかりが急にいなくなってしばらくは静かだったけど、今はもう元に戻ったみたいに感じる。それでも、隣にあかりがいないのは、なんだか、ふわふわしている気がしています。
こっちは、少しずつ寒くなってきて、紅葉が始まりそうだよ。よく、もみじを拾ったよね。どんぐりを集めたのも覚えてる。
まだ、秋も始まったばかりだけど、あっという間に冬が来そうです。あかりがクリスマスプレゼントにくれた手袋も、小さくなっちゃった。大きくなっても使えるように、って少し大きめのものをくれたのに、もうつけられないんだ。それが、とても寂しくて、くやしい。
あかりのまわりは、まだ暗い星の世界なのかな。
あかりの手紙には「半年で着く」って書いてあったけど、こっちの計算だと、あかりが目的地に着くまで、まだ2年くらいかかるんだ。
あかりにこの手紙が届くとき、僕はもう高校生になっているはずです。変な感じだよね。
あのだ菓子屋さんも、去年なくなっちゃいました。
あのおばあさんも腰を悪くしちゃって、息子さん夫婦の所に行くんだって言ってました。
そうだ。この前、天体観測をしていた時に金星を見つけました。
金星は「明けの明星」とも呼ばれているんだと習いました。「明星」ってあかりの名前の漢字だよね。
すごくうれしかった。ここから君を見つけたんだ、って感じました。
いつも、僕も思っています。
僕はあの時、怒ってたんじゃなくて、照れくさかっただけなんだと思う。
時任 悠斗より
※ P.S.
誕生日プレゼント、受け取ったよ。手作りの星のキーホルダーなんだね。
ありがとう。とってもうれしい。
今も、それを見ながらこれを書いています。
⇒ 2119年 春頃着予定
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