第3話 (((((弟子)))))のベルナバ
「失せやがりください」
すまない、つい、口汚くなってしまった
しかし、これは俺の意思ではない
脊髄反射なのだ
「愛弟子になぁにを言う」
「失せろ」
「それしか言えないのk」「失せろ」
「botかな?」
目の前にいるこの女は【ベルナバ】
俺が育てた生物兵器、比喩ではなくてだな
彼女は俗に言う『S級冒険者』なのだ
「要件を5字以内で伝えよ」
「暇で御座候」
「くたばれ」
俺が何故これ程こいつを毛嫌うか
ちょ~わかりやすく説明すると
「父さんやっぱ酒臭くない?」
「だから(((((弟子)))))つってんだろ」
説明の手間が省けた
見ての通り、俺を「父さん」と呼ぶのだ
先に言うが俺は離婚歴も結婚歴もない
単に此奴が新米冒険者だったときに色々と教えてやっただけだ。
懐かれてはいたし確かに可愛がってはいた
当時は「弟子ができるのも悪くない」
などと思っていたら、彼女は現在18歳という若さにも関わらず、その凄まじい成長速度で世界有数のS級冒険者となっていた。
しかも最年少とかいう
そんな奴に「父さん」と呼ばれるのは
世間体もあるが俺自身がお父さんと呼ばれ慣れていないためなんだか気色の悪いものを感じる。この件で何度問い詰められたことか…
だから今もこうしてギルドの個室で話し合っている
「父さんやっぱ虚ろ、まだ30なのに」
「もう30だ、お前もいつか分かるぞ」
此奴が12歳の時に教え子にし、当時ちょうど20歳で現役A級冒険者だった俺は随分と気楽に考えていたが‥女の子なら反抗期の1つや2つでも起こしてくれれば楽なものの‥
「ハァァァァッ‥」
「クソデカため息じゃん」
「原因が喋ってる」
「まぁまぁ!聞きたいことあるからさ」
「これまた珍しい」
「レッドヴァーグの生態についてさ」
レッドヴァーグ‥
2つの大きな翼手に尾に針に似た赤い鱗があり、白の羽毛で覆われている空竜種
つまりはドラゴンだが
「レッドヴァーグは俺に聞かなくとも辞典やその手の人に聞けば分かるだろう?」
「だから父さんがその手の人じゃん」
諦めました。はい、それでいいよもう
「それに父さんって“唯一レッドヴァーグを観察して死亡しなかった冒険者”でしょ?」
レッドヴァーグの観察
これはS級の難易度と言われる依頼である
何がそんなに困難かというとレッドヴァーグ自体が希少な上に魔力に対し異常に敏感だからだ。気性が荒く、自分の間合いに入る生物を必ず殺す。野蛮なくせに魔力操作は魔物らしからぬ玄人の技量、指定した縄張りの魔素の揺らぎを確実に捉え、追跡する
数年前にここら一帯に住み着いてその時派遣され、死屍累々となった観察隊がいたが、その中に俺がいた
「国からのお達しか?」
「新たな貿易ルートが巣のギリギリ真横なんだって、橋を架けたいけどそれでレッドヴァーグの怒りを買わないかビクビクしてる」
S級冒険者は基本的に国家直々に財源支援してもらったり、土地の所有権や大臣並みの
権力を渡されたりと手厚い手当を貰ってる。
国家としても単体で主要都市を完膚なきまでに壊滅させることが出来うるS級はより多く
保有したいのだろう、他国や他組織に取られないためにも至れり尽くせりの対応をしている。しかし今回の依頼は強固なる「命令」
という形で指示されたらしい
よほど怯えてるように見える
「私がその調査もしくは駆除をするんだよ」
「そうゆうことね」
「で、何かわかる?」
「まぁ、調査しに行かなくていいぞ」
「え?なんで?」
「レッドヴァーグはもう死んでるからな」
「そうなんだ、やっぱレッドb‥あ?」
いつにも増して阿呆面なベルナバ
脳が全稼働しているんだ
少し待ってやろう
「死ん‥え?」
喋れるようになったらもう大丈夫だろう
「死んだぞ」
「死んだの??」
「餓死」
「がし???」
「そう、餓死」
「?????」
阿吽の呼吸でビートを刻んだが
馬鹿な弟子にも説明してやろう
「先に説明すると竜には
『長命種』と『短命種』がある
レッドヴァーグは後者だ。これが結構面白い 生態をしていてだな
己の卵を孵化した後は何も食わずに死ぬという特徴がある、これまたショッキングな話で
子が親の死体を喰うのである
空竜種の主食は魚類、しかし不都合にも
この国【ベルシオン】は内陸国
最も近い魚が生息する海域はここから馬車で1週間かかるところにあるため
1日5食であるレッドヴァーグにとって
いちいちその時間をかけて行って戻って‥
などとすると非常に効率が悪い
ならば海辺に住むしかなくなるが
幼体のレッドヴァーグは海辺のモンスターにとってのいいお菓子となってしまう
そんな所に巣は立てられない
では陸地の山岳に巣を建てよう
しかし主食の魚はどうするか
そこでレッドヴァーグはある習性を得た
[安全な陸地で卵を産み、己の体を餌に子を成長期まで育て、死体の肉が無くなった頃に子が海辺に飛び立ち、生活する]
といった習性を得たのだ。」
レッドヴァーグは死んだあとも一定の期間腐らない事が分かっている
その理由がこの習性によって判明したのだ
「しかし、辞典には‥」
「お前の見ている辞典は帝国歴80年の奴だぞ。数年前に発見された習性が書かれているわけ無いだろう。この話もドラゴンスレイヤーの間に話としてしか広がっていない
早く新辞典を出してほしいがな」
「そゆことか」
「今はその時期ではないと思うぞ、試しに行ってみな」
「分かった、ありがとう父さん」
「あいよ」
後日、ベルナバは実際に巣だった場所に向かうと案の定レッドヴァーグはいなかった。
今の時期に橋を建てればその後レッドヴァーグが住み着いても大丈夫だそうだ。
そして俺と言うと…
「お前本当に懲りないな」
「すんません…」
以前の麻痺毒くらったC級冒険者をまた救助していた。今度はドラゴンに挑むとか言って巣穴に向かったらしい。
なんで死なないんだこいつ
異世界のA級救助者〜早急に向かい支援します〜 @Denpas
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