かつて引き返したその先へ。

 ──2024/1/10


 時間を超えた共同執筆は、まるで魔法のような体験だった。


 かつての俺のアイデアに今の俺の感性を交差させ、溶け合わせることで、お互いの強みを活かしていく。

 時には意見がぶつかり合い、時には共鳴し合いながらも、俺たちは物語の奥深くへと進んでいく。

 そうやって、眠っていた時間を取り戻すかのように再び物語は動き出していく。


 そして、ついに物語が終わりに近づく。


 過去と未来が交差した最後の瞬間。


 キーボードを叩く手が重なりあうような奇妙な感覚を最後に、過去の俺の気配は消え去り──未完成だった物語が、今目の前に完全なる姿を現したのだった──




「──ってうまくいけばいいのになあああぁぁぁぁぁああ!!!」



 残念ながら現実はそうもいかない。


 リメイクなんて簡単。

 良いところは残し、良くないところを変える。

 ただそれだけの単純な作業。


 だがそれは存外とてつもなく難しい。

 現代エンタメのリメイク作品の惨憺たる結果を見れば明らかだ。


 でも難しく考える必要はない。


 スベったら過去の俺のせいで、ウケたら俺の手柄。

 超シンプル。




 ◇




 2024/1/13



「さて……」


 PCに映るこのボタンを押せば、いよいよ第1話が投稿される。

 なお、本来完成させた状態で投稿を開始するつもりだったが、先に有給が底をつきてしまった。


 かつての俺はカクヨムを攻略をできなかったが、伊達に仕事に全振りしてきたわけではない。

 創作スキルは劣っていても、地頭やセンスは良くなっている自負がある。


 それに今の俺にはエンジニアとしての経験もある。Webサイトの構造やUI/UXに関しては造詣が深い。

 かつてのネット小説家としての経験と今の知識を組み合わせれば、このカクヨムというフィールドにおける強行動・安定行動という一連の立ち回りはある程度想像できる。


 俺としてはここからが面白くなってくる。

 ようやく場にカードが出揃い、ここからどのように勝負を仕掛けるか、プレイヤーの腕が試される。

 読者の反応を見ながら打てる手を全て打っていこう。


 弾は過去の俺から選りすぐりのものをパクってきた。

 不発弾の可能性もあるが、それは考慮しなくて良い。


 ……結局、俺は創作活動に対して根っこのところで本質を履き違えている自覚はある。

 唯一、作者がやるべきなのは物語を書くこと。それだけは理解している。


 なろうでもランキングの濁流に飲み込まれ、おかしな方向に努力するようになってしまったのを何度か見てきたが、きっとカクヨムでも同じだろう。

 幸い、過去の俺がなろう時代に痛い目を見ているのできっと大丈夫だ。



 ──さて。


 ここからランキングトップをぶち抜くワンショットキルを達成して、ご褒美でカクヨムコンで書籍化してもらうだけだ。



 それができたら今の俺のおかげ。

 できなかったら過去の俺のせい。


 都合のいいチャレンジスタートだ。




 ◇




 時は流れ──結論から述べると。


『放送室でバカ話で盛り上がってたらマイクがオンだった。』

 は現代ドラマの月間1位、カクヨムコンのエンタメ総合ランキングを1位を獲得した。


 その勢いのまま受賞して書籍化できたら最高じゃん! と淡い期待を抱いていたが、受賞の連絡が来ることはなく5月末にカクヨムコンの受賞作品が発表された。


 というわけでいつだって現実はビターエンド。

 そう上手くはいかない。


 なんて振り返りをしながら結果発表サイトを見ていると、カクヨムコン9でのみ存在する読者レビューよって決まる"最熱狂賞"というものを受賞していた。


 おまけみたいな賞でそれが何かにつながるわけじゃないけど、それでも一応"受賞"とは呼べるだろう。


 作品が受賞する場合は事前に連絡があると思っていたので、結果発表のサイトを開いてめちゃびっくりした。

 コメディ的には、読者にオチをつけてもらえたのはなかなかオイシイ。


 実際、今の自分がランキング1位を取れたことや、そもそも応募要項の10万字を書けたことがまず本当に嬉しかった。


 きっちりとビギナーズラックを撃ち抜いて上出来の結果。

 かなりの上振れを引いた自覚があるし、もう一回やってもこれ以上の結果は望めないだろう。

 ちなみにコンテスト締め切りまでに10万字書かなきゃいけないことを締め切り数日前に知ったときはがち焦った。



 だけど、人生は何が起こるかわからないもので。


 その後、職場の同期が自分の作品を読んでいたことが発覚したり、ネット小説で得られたスキルが想定外の形で配信付きステージの上で発揮された結果、めっちゃバズってエンジニアとして評価に繋がったりと、いつの間にかネット小説が未来の自分を形成する確かな要素になっていく。


 無気力な自分を振り払うかのようにネット小説に明け暮れたあの悶々とした日々。

 そして何より、学生時代に意味もなく持て余したエネルギーをネット小説に捧げていたあの日々。


 半ば黒歴史扱いしていたあの日々に助けられることになるとは。

 結局物事の意味なんて後から自分でいくらでも与えられるってことか。


 おそらく一端の物書きならその過程こそありありと綴るのだろうが、自分にはあいにくそのような創作センスは持ち合わせてないので諦め。

 人生諦めが肝心。


 この作品もカクヨムコン当時にリアルタイムで書きつつ部分的に投稿していたものを、カクヨムコンの短編の要項に合わせて1万字に収めたもの。


 ……PV0からどんどんランキング駆け上がっていくところが、分かりやすい盛り上がりポイントだったのになあ!!


 と思う気持ちもありつつ、コメディとしてはこれが丁度いいような気もしてる。

 ちなみに今9900文字くらい。やばい、迫りくる文字数との戦い。

 でも気付いた。ルビで文字を書けば文字数にカウントされないという抜け道に




 ……と、ここまでポジティブなことばかり言ってるので、あえてマイナスのことを言うと、今回再びネット小説を書いてみたのは自分のためであり、満たされてしまえば書く理由はなくなってしまうわけで。


 さらに仕事が忙しくなってくると、どうしても更新が難しくなってきますよね……。


 継続は力なり


 という何の面白みもない事実を実感。

 結局どんな分野も、長距離を安定して黙々と走り続けられるやつがいっちゃん強い。

 ランキングとか関係なく、創作活動を続けられる作者さんにはまじリスペクト。

 自分は自分なりのペースでいこう!



 字数も限界なのでそろそろ締めようかなと。

 ここまでお付き合いいただいた皆様の感想やレビューをお待ちしております!


 ……最後にここでカクヨムモチベを充填したい打算が見え隠れしたところで。


 お相手はizumiでした!

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元なろうコメディ1位、現社畜のカクヨムコン奮闘記──いや過去の自分が越えらんない!!! izumi @Tottotto7

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