xxに負けてxxに勝つということ
2023/12/21
久々にネット小説を読んでみると、自分が没頭していた頃と流行は違うようだ。
ジャンル問わず配信モノが流行っているっぽいな……。
オリジナリティを出しつつも、きちんと流行を取り入れてランキングを駆け上がっていかないと。
2023/12/23
うーん、もともと書くのは遅い方だったけど、書き出しすら全然決まらねえ……。
2023/12/26
……よし、まあ悪くはないんじゃないか……?
とりあえずなんとか形にはなってきたぞ!
休憩がてら、過去の自分の作品のネタ帳を覗いてみるか。
投稿しないままPCに眠ったままのやつ、結構多かった記憶があるんだよな。
メモだから、会話文だったり、アイデアベースの箇条書きだったりで適当だが。
──────────
問題
立てば( )
座れば( )
歩く姿は( )
正解
立てば( 芍薬 )
座れば( 牡丹 )
歩く姿は( 百合の花 )
ヒロインの回答
立てば(ガッキー)
座れば(環奈)
歩く姿は(マンドラゴラ)
主人公「絶対動くな」
──────────
死角から思いっきり殴られた気分だ。
一体全体どうやって過去の俺はこんなネタを書いていたのだろう。
……さすが
これと比べてしまうと、今の自分が書いているものがコメディとしてだいぶ劣って見える。
……相手は思ったよりも強大。認識を改める必要がある。
しかしまだ焦る必要はない。
もう一度書き直せばいいのだから。
◇
2023/12/26
……よし、これはいい感じに書けてきたぞ!
流行も取り入れてるし、結構良いんじゃないか?
過去の俺にだって負けてないはず。
適当にネタ帳を漁って見比べてみるか。
──────────
「なんでこんな簡単な料理でこんな大惨事になるの?」
「うぐっ……」
「はあ……男の子でも料理出来たほうが良いよ? 卵焼きを作るのなんて赤子を首をひねるみたいなもんじゃん」
「誰もできねえよ」
「いくら男子だからって……ほんと穴があったら挿れたいっていうか」
「男子すぎるだろ」
──────────
……本当に敵は手強い。
今の俺が時間を書けて精一杯書いたものより、過去の俺が適当に書いた走り書きの方が、面白い気がする……。
◇
2024/1/1
……これならどうだ。
一から書き直して、今までの中でかなり感触が良い。
これなら過去の俺にだって勝てるはず……!
──────────
「お前に相談がある」
「どしたよ?」
「オレの一つ下の彼女の話なんだが」
「はあ!? おい待てそんな冗談やめろよ!?」
この二次元オタクに彼女だと!? そんなバカなことが──
「………………ちなみに一つ下というのは?」
「次元の話だが?」
──────────
……。
◇
2024/1/5
──────────
「先生、俺……大学に入ったら彼女ができると思ってました……」
「そう気にするな。お前は良い男なんだからそう焦る必要はないさ」
「大学に入れませんでした」
──────────
──────────
「先生……今朝の校門での手荷物検査の件、僕は納得いきませんよ!」
「……どうしてだ?」
「もし僕が学校に持ってきちゃいけないものを持ってきていたのなら、それは罰を受けるべきだと思います」
「ああ、当然だな」
「でも先生、学校に持ってきちゃいけないものを持ってきたわけでもないのに、なぜ僕は反省文を書かされるんですか!?」
「それは……」
「僕はただ──何も持たずに手ぶらで登校しただけなのに!」
「逆にその方が罪が重いまである」
──────────
もう認めよう。
過去の俺には──勝てない。
モノが違うというか、今の俺がまともすぎる。
もうこんな発想は出てこない。
十で神童、十五で才子、
まあ当時のizumi少年は二十歳くらいなので、すでに只の人だったんだが。
今の俺の頭だと、そうだな……
十で神童、十五で才子、二十歳過ぎれば只の人、三十五から胃カメラバリウム
……くらいが関の山。
過去の俺にも同じ大喜利をやってほしい。
どうせもっと面白くするんだろうな!
とりあえずわかったのは過去の俺より面白い作品を──今の俺が書けるわけがないってことだ。
なんだよ……こんなくそつまんねえ結論に至るために貴重な社会人の2週間を費やしたってのかよ?
今はこれ以外何もやる気が起きないってのに、お前は楽しそうにネット小説なんて書きやがって。許せねえ。
──とにかく過去の自分を否定したくて。
……なんとか今の自分を肯定したくて。
今の自分を素直に認められるような……わかりやすい何かが欲しくて。
こんなつまらなくてありふれた結論に至るために、ここまで俺の有給ストーリーを紡いだつもりじゃなかったのにな。
これが物語ならここから主人公覚醒ターンなのに!!
……でも。
もうこれでいいや!
逆にスッキリした!
過去の自分を上回ることで今の自分を肯定しようと思ってた。
けどそもそも創作活動という、極めて特殊な訓練を受けていても苦痛で仕方がない行為を2週間も続けられた自分を褒めよう!
これだけで十分凄いわ! 偉い!
いやまじで創作活動とかいうコスパ・タイパの対極だろまじで。何も生み出さずに週末が秒で溶けるし。
凄くない? 週末が秒なんだよ? Weekends are a few secondsだよ? 意味わかんなくない? だって文法適当なんだもん。
何も知らない頃は新鮮さだけでやれたけど、今じゃこんなディーラー不在でゲームが成立するかどうかも不明な賭けにオールインできるわけない。
しかし──何も収穫がなかったわけではない。
過去の自分との違いを見せつけられる悶々とした日々を通して……俺はとある事実に気づいた。
過去の俺を超えられないのは……今の俺がつまらないからじゃない。
──過去の俺が面白すぎるだけだ!
ただそれだけのことだ。
これは相手が悪かったね。
むしろモラトリアム期間の謎のエネルギーを持て余したヤツを相手に、まともな社会人の俺がよく立ち向かった。
ナイスチャレンジ。ナイスファイト。
だから素直に白旗をあげよう。
参った。降参。
この勝負──お前の勝ちだ。
でもだからといって、このままここで終わるわけじゃない。
……だってカクヨムでコメディで1位を取るという試合はまだ終わってない。
お前は勝負に勝てれば良いと思っているだろうが、こちとら伊達に社会に揉まれちゃいない!
いいか?
世の中ってのはなあ、結局試合に勝つこと……つまり結果が全てなんだよなあ!!
試合に負けて勝負に勝ったなんて、所詮負け犬の遠吠え!
敗者の論理!
つまり何が言いたいかというと──お前が取れなかったカクヨムのコメディ1位を、俺が獲得して試合に勝たせてもらう。
別に俺が物語を書かなくてもよかったんだ。
それはあくまで目標達成のための手段の一つでしかないということを完全に見落としていた。
幸運なことに、俺が一番面白いと思うものはお前が書いたものなんだから──これをそのままパクれば良かったんだ。
無理に過去を否定して打ち負かす必要などなかった。
最初から駒として利用して、ネタをパクって使い捨てればいいだけだ。
すでに話のネタはあるのだから、ちょっとアレンジするだけでいける。
それでコメディ1位を取ってカクヨムコンを制すればいいんだ。
上手くいけば自分の手柄だし、失敗すれば出来の悪い話を書いた過去の自分のせいだ。
俺には得しかない素晴らしい択じゃないか!
──お前はゴールに辿り着けず、俺じゃスタートラインにすら立てなかったこのレース。
お前が昔手放したバトンが俺の目の前に転がってたことに気づけたので、ありがたく拝借させてもらう。
さて──最後の悪あがきといこう。
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