第七話 圧倒的反撃と、霖の招待
佐伯たちが図書室に踏み込んできた翌日。
尋は教室の隅で、いつも以上に身を縮めていた。けれど、高嶺霖は違った。彼女は、自分たちの居場所を脅かした連中を、決して見逃さなかった。
「ねえ、佐伯さん。昨日、図書室で河井さんに会ったでしょ?」
休み時間。高嶺はクラスの中心で、困ったように眉を下げて切り出した。その瞬間、教室の空気がピタリと止まる。
「あ、うん。ちょっと寄っただけだけど……」
「実はね、私、あそこで河井さんにすごく助けられてるの。ちょっと家庭の事情で、静かな場所で相談に乗ってもらってて。それを彼女、誰にも言わずに守ってくれてたのよ」
高嶺は瞳を少し潤ませて、佐伯の手を優しく握った。
「でも、昨日佐伯さんたちが来たから、彼女、びっくりして怖がってしまって……。もし彼女に何かあったら、私、自分のせいだって思って学校来れなくなっちゃうかも」
高嶺の「儚げなヒロイン」の演技。それを見た男子たちが、一斉に佐伯を冷ややかな目で睨みつける。
尋は、自分の席で震えていた。
(怖い。高嶺さん、一言も嘘はついてないのに、世界を完全に塗り替えちゃった……)
放課後。いつもの図書室。
高嶺はソファにひっくり返り、佐伯に見せていた殊勝な態度はどこへやら、「あー、演技って嫌ね!まじで顔の筋肉死んだわ」と毒を吐いていた。
「高嶺さん、お昼のは……」
「反撃よ。あいつら、もうあんたに指一本触れられないわ。まあ、私もちょっとやりすぎた感あるけど」
高嶺はむくりと起き上がると、カバンから一枚のメモを差し出した。
「明日、学校、休みでしょ」
「え、はい。土曜日だし」
「図書室は閉まってるし、外で会うのも誰かに見られたら面倒。だから、私の家に来なさい、住所はこれに書いてるから」
尋は目を見開いた。
「えっ!? 高嶺さんの家に?」
「私の部屋なら、誰も来ない。あんたに、私の『本当の蔵書』を見せてあげる。学校の図書室なんて比べ物にならないくらい、ドロドロで救いのない本ばっかりなんだから」
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