闇ギルト-2
闇ギルト-2
「闇ギルド?って何ですか?」
俺が大男に聞き返した。大男が答える。
「盗み、恐喝、詐欺、強盗、時々暗殺なんかが専門のギルドだな。たまに慈善事業をやることもある」
(要するにファンタジーヤクザか)
俺は納得した。とりあえず犬男に付きつけていた短刀を引っ込める。拘束魔法はまだ解かない。荷物を拾ってから、大男に声を掛ける。
「とりあえず、俺の反対側に行ってくれません?」
このままでは行き止まりなので、いざとなったら逃げられないからだ。大男が犬男を中心に回り込むように、行き止まりに向かう。俺は短刀を犬男に向けながら反対側に移動していく。少し距離を取ってから、拘束魔法を解いた。拘束と緊張の解けた犬男が、思いっきり深呼吸をしてから、俺に向かって指をさして、叫ぶように言う。
「ふざけんなよ、テメー!死ぬかと思ったじゃねーか。あと、俺の短刀を返せよ!」
俺は短剣を投げて返した。犬男が大げさに投げた短剣を躱して、更に叫ぶ。
「いや、投げるなよ。あぶねーだろうが!」
叫びまくる犬男の頭を、大男がぶん殴ってから言う。
「うるせーぞ、ガロ!」
ぶん殴られたガロと呼ばれた犬男が、大男を見て言う。
「ちょっと兄貴!ぶん殴る相手が違うじゃないですか。アイツをやっちゃってくださいよ!」
そう言って俺を指さす。大男がもう一回ぶん殴る。
「お前は、さっきの話を聞いていなかったのか?」
俺は二人の漫才には用はない。さっさとその場を離れようとする俺を、大男が呼び止めた。
「おい、兄ちゃん!この後で行く当てはあるのかい?どうせないんだろう」
俺は大男を見つめて言う。
「なんでそう思うんですか?」
大男がニヤついて答える。
「こんな夜更けに荷物を背負って一人でブラついている奴を見たら、まあそう思うだろう?」
俺は何も言い返せない。
大男が俺に提案をする。
「兄ちゃん、良かったら、うちのギルドに来ないか?」
何か言いたげがガロを、大男が押さえつける。
俺は少し悩む。行く当てがないのはその通りなのだが、だからといって裏社会入りは流石に抵抗がある。
迷っている俺に、大男が言う。
「兄ちゃんはなんか欲しい物とかないの?金とか酒とか女とか?」
どれも要らない。興味が無くなったので立ち去ろうとして時に、大男が追加で言う。
「うちには黒魔法に詳しいやつもいるぞ!」
その言葉は、俺の耳に刺さった。振り返った俺に、大男が楽しそうに言っていく。
「そうだ!この辺りで一番優秀な黒魔法使いはうちのギルドに居る。それに、より高位の悪魔とも契約出来るぞ!」
俺は乗ってみることにした。
「少し興味があるので、招待してもらってもいいですか?」
大男が歓迎するように手を広げる。そして名乗る。
「俺の名はバズ。お前さんの名前は?」
「ドナルド」
俺は馬車でミリアにとっさに名乗った名前を答えた。
バズに案内された建物は、一見は普通の建物に見えた。
「建物に入って、右手に階段がある。その裏側に隠し階段があるから、そこから降りていけ。その先に居るヤツに、バズの紹介で来た、って言えば話は通るはずだ」
それを聞いて、俺は建物に入っていく。言われた通り右手の階段の裏側に回る。手で探ると、引き戸が見つかった。そこを開くと、地下へと続く縄梯子が見つかった。
(秘密基地くらいチープな感じだけど、大丈夫なんだろうか?)
そんなことを考えながら、俺は縄梯子を降りていった。
建物の外で、ガロがバズに質問する。
「なんで兄貴は、あんな奴をわざわざギルドに招待したんですか?」
バズがガロに答える。
「寿命を削る黒魔法を、ガンガン使う野郎だ。おまけに根無し草。鉄砲玉とか色々使えるだろう、多分」
愚かな二人は招き入れた。破滅をもたらす、更なる愚か者を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます