闇ギルト-1
闇ギルト-1
夜の街を歩いていると、俺以外の足音が後ろから聞こえて来た。俺は少し速足になる。後ろの足音も、それに合わせて早くなる。
(しまった・・・そういうのもあるのか)
俺は内心で自分の軽はずみを後悔した。角を曲がった瞬間に、俺は速足から駆け足に変えて、走り始めた。後ろの足音も、駆け足に変わった。俺は適当に角を曲がっていく。既に自分がどこに居るのかも分からない。とうとう俺は行き止まりに辿り着いてしまった。振り返るとそこには灰色の犬のような顔をした獣人が居た。
「おう!鬼ごっこは終わりか?」
獣人があざ笑うように言う。声からして男のようだ。男は懐から短剣を取り出した。俺は犬男を見つめる。
(どうしようかな・・・)
荷物は奪われても、最悪何とかなる。でも、殺されると困る。俺は荷物をその場において、数歩下がった。
「これじゃ、駄目でしょうか?」
俺は手を上げて犬男を見つめながら言った。犬男は短剣を舐めながら、荷物を俺を見比べる。
「どうしようかなー」
俺は面倒になってきた。犬男が荷物に目を移した瞬間を見計らって、腕を振り下ろして炎撃を叩き込む。
「うおっっつ!?」
突然の炎が目くらましになった犬男が後ずさりをする。俺はその大きな隙に付け込んで、拘束魔法で縛り上げた。犬男がその反動で短刀を落とす。
「オイオイ!?黒魔法!?正気か!?お前は!?」
思った以上に上手くいった。俺は犬男が掴んでいた短刀を拾い上げる。炎で殺すのは時間が掛かるし臭いも出る。短刀で刺した方が楽そうだ。
(また別の町に行かないとな・・・)
そう思いながら、俺は犬男に近づく。犬男は怯えた顔をして喚きだした。
「いやいや、まだ何もしていないじゃないですか?判断早すぎませんか?」
それを聞いて、俺は思い出しながら近づく。
最初はキマイラ
次は助けてくれた二人
そして魔術師
みんな俺を殺しまくった。ここまで殺されると、殺すという行為にあまり特殊感が無くなる。
(判断が早くなったのはそうかもしれない・・・)
何となく他人事のように自分の変化を見つめながら、犬男の首筋に短刀を向ける。その時に、犬男とは別の声が聞こえて来た。
「ちょっと待った!」
俺は短刀を当てたまま、声の出た方を見る。そこには、犬男よりも大柄な大男が居た。筋骨隆々で、いかつい顔に眼帯をして、残った目がこちらを見ている。
(正義の味方、とかではない感じだな)
結構失礼なことを思いつつ、俺はそれに答える。
「なんでしょうか?」
大男が言う。
「すまんが、そいつは俺の舎弟でね。助けてもらえないだろうか?」
犬男が叫ぶ。
「兄貴!助けて下さい!」
俺は答える。
「別に助ける分には構わないんですが、私は助かるんでしょうか?」
それを聞いた大男が、笑いだした。
「黒魔法を惜しみなく使う割には、小心者みたいなことを言う奴だな!」
俺は内心では困った。
(どんどん状況が面倒になってきている・・・)
大男が続けて俺に言う。
「殺っていないなら、別に何もしない。でも、殺るなら殺らないと、落とし前がつかない」
俺は大男を見る。見るからに強そうだ。前に強そうな二人を殺した時は、完全な不意打ちだった。今回はそれは出来ない。俺は大男に聞く。
「貴方がそうすると、何が保証してくれるんでしょうか?」
大男が答える。
「俺たちの母なる冥府の女王に誓おう」
「誰ですか?それ?」
思わず俺は聞き返した。
大男が笑って答える。
「俺たちが属する、闇ギルドの創始者と言われる神だ」
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