第10話

ムーランはゆっくりと寿命の薬を手に取り、おじいさまの口元へ、そしておばあさまの口元へ、できるだけ優しく差し出した。二人とも、孫娘への信頼に満ちた眼差しでその薬を口にした。


そして、ほとんど瞬時に――奇跡が起こった。


おじいさまもおばあさまも、長年苦しめられてきた体の震えが小さく揺れる程度に収まり、かつての疲れ切った目は一瞬光を取り戻した。そして、最も驚くべきことに、灰色の霧のようなものが、二人の頭上からゆっくりと漂い出し、空中で消えていったのだ。


「それは、長い間体に蓄積されていた邪気や病の影響です」と、チャン・プーヒンは平然と語った。「体の中の悪いものが外へ出たのです」


その言葉が終わるや否や、おじいさまもおばあさまも深く息を吸い込み、久しぶりに、全身で呼吸を味わえるようになった。長年苦しめられてきた咳や痛みは、まるで最初からなかったかのように消え去った。二人はゆっくりと立ち上がり、もう体の震えも痛みも感じなかった。おばあさまの顔からも、皺や痛みの痕跡が消え、見る者にも力強さが感じられるほどに生き生きとした表情が戻った。


「わたし……呼吸ができる……咳も出ない……」おじいさまは信じられない様子で小さくつぶやいた。


ムーランはその光景を目にし、胸がいっぱいになった。喜びの涙が止めどなく流れ出た。


「おじいさま!おばあさま!」


ムーランは二人をぎゅっと抱きしめた。泣き声は悲しみではなく、幸福と安堵に満ちた声だった。三人の命の重なり合う瞬間は、暖かさと尊さにあふれ、見守る者の心を揺さぶった。


チャン・プーヒンもその光景を静かに見守った。表情は変わらないものの、心の中では深い感動があった。かつて彼は、自分の前で小さな善意を示したムーランの姿を見ていたのだ――見知らぬ子どもにこっそり餡饅を分け与え、困っている子どもを助け続けたその姿を。今、目の前のムーランを見ていると、まるで昔の自分自身を見ているようだった。


「ありがとう……今回のことは、一生忘れません、チャン様!」ムーランは深く頭を下げた。


チャン・プーヒンは優しく微笑み、ムーランの小さな体を抱き上げて立たせた。「礼などいらない。おじいさまとおばあさまの体が元気になったのだから、これで十分だ」


「はい!」ムーランは力強く頷き、二人に別れの挨拶をして身支度を整えた。だが、振り返ると、二人は静かに涙を流していた。


「行きなさい、愛しい子……自分の道を歩むのだよ」とおばあさまは涙ながらに言った。


ムーランは涙をこらえつつ頷き、家の中に荷物を取りに行った。そしてほどなく、彼女は小さな布包みひとつを持って、馬車に乗り込んだ。おじいさまとおばあさまは見送り、目には惜別と希望が混ざった光を宿していた。


「ムーラン、君の身の安全は心配いらない。この町では、君を傷つける者は誰もいない」チャン・プーヒンは二人に向かって言った。


馬車の中、豪華な装飾と柔らかい絨毯、香る沈香の匂いに包まれながらも、ムーランは慎ましく床に座った。チャン・プーヒンは微笑みながら、「なぜ床に座る?ベッドのように快適な席があるのに」と言ったが、ムーランは小さく頭を下げ、「大丈夫です……主人様。わたしは女の子ですから、こうして座るのがふさわしいのです」と答えた。


その誠実な態度に、チャン・プーヒンは満足そうに微笑んだ。


「道中、何か知りたいことがあれば、どんなことでも尋ねなさい。町のことでも、私のことでも構わない」


ムーランは頷き、少しの沈黙の後、勇気を振り絞って質問した。


「主人様……なぜ、わたしを選ばれたのですか?」


チャン・プーヒンは静かに答えた。「理由は二つある。ひとつは、君の心の純粋さだ。最初に君を見たとき、餡饅を分け与える君の心の優しさに、私は驚いた。もうひとつは……私の幼少期、君のような優しい子どもとして過ごしたことがあるからだ」


ムーランはその言葉に胸が熱くなった。目の前の彼は、ただ高貴で遠い存在ではなく、彼自身もかつては苦労を知る一人の人間であることを理解した。


その瞬間、ムーランは深く理解した――今回の旅は、彼女にとってただの冒険ではなく、信頼と優しさに満ちた人々と共に歩む人生の新たな一歩であることを。

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