雨を止める女
御剣ひかる
現代の異能者?
わたしには「雨をやませる」あるいは「降っている雨の強さを和らげる」能力があります。降水確率70%以下ならわりと発揮します。
ただし、傘を身に着けていないといけません。
ただの偶然だと笑われればそれまでですが。
盛ってるだろと言われたら、そこは否定します(笑)。偶然だろうが本当にわたしの隠された能力だろうが、雨が止んだ、降らなかったのには違いありません。
わたしが自分の「能力」に気づいたのは、大学に通っている頃でした。
今日は雨が降るよと親に言われて傘を持っていくと、降らない、ということが何度か続いたのです。
この時点ではわたしも偶然だろうと思っていましたし、天気予報が外れたんだろうとも思っていました。
ですが、社会人になり、趣味のTRPGサークルに通い始めてから、メンバーの一人が言いました。
「なんか、ひかるアネさんが傘持ったら、雨弱くなるよな」
サークルメンバーの近しい人達には、アネさんと呼ばれていました。
二十代の乙女(笑)にアネさんとはなかなか力強い呼び名ですが、わたしも別にそのあたりは気にしていませんでした。
さておき。
言われてみればそうだねーという話になり、「アネさんが傘を持つと雨が止む確率」なるものの緩い統計がとられはじめました。
結果、降水確率およそ40%までなら、降らないことがほとんど。60%までなら半々。80%までいくとさすがに降らない確率は低くなるが、アネさんが傘を持っている間は雨脚が弱まる。という感じになりました。
それからというもの、サークル活動中に雨が降り始めると、わたしの前には折りたたみ傘が「お供え」されるようになりました。
以後、30過ぎで結婚するまでに友人たちの伝説となったエピソードが数々あります。
吹雪いているスキー場でアネさんが折りたたみ傘をリュックで背負って滑ってると吹雪が止んだ。
台風直撃と天気予報で断じられていたがアネさんに傘をお供えしたら急にコースがそれた。
にわか雨が降りだしたのでアネさんに傘を渡したら一瞬でやんだ。
などなど。
台風の時は、わたしもさすがにそれは無理でしょと笑っていました。
試しに、と傘を渡され冗談で「台風よー。それなさーい」とやったら一時間後の天気予報の、台風の進路が急激に東にそれたのを見てサークル内が爆笑したのでよく覚えています。
台風が迫っている中でTRPGサークル活動してるなんて危険だろうというツッコミが聞こえてきそうですが、台風の直撃は解散後と予想されていたのです。念のため。
こうして自他ともに認める「雨を止める女」でしたが、結婚後には急激に確率が下がりました。
友人らは「魔女は恋をすると力を失うらいしから、アネさんの能力もそんな感じなんじゃ?」と笑ってました。
しかし、子育てが落ち着いてきた昨今、また傘を持つと雨脚が弱まることが増えてきて、雨を止める女、復活かと夫婦で笑っております。
単なる偶然か、はたまた隠れた能力か。
あなたはどう思いますか?
さらにちなみに。
子供達はめちゃくちゃ雨男、雨女です。
娘は幼稚園年長の年の行事が、お別れ遠足以外は全て雨でした。
それ以降もお出かけの雨確率がすごく高いです。
子供達の氏神様は水の神なので、神様の寵愛を受けているから素晴らしいことなのだ、と言っています。
何せお宮参りの時に神主様が娘の名を読み上げた時に、ざあぁっと雨が降って、すぐにやんだほどです。
これも偶然といってしまえばそれまでですが、信じる者は救われる、ということで。
雨を止める女 御剣ひかる @miturugihikaru
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