心から、繋がっている

 今日の夢宮めぐりは、親友である空津院ほまれから事務所で相談を受けていました。

「そういうわけで、この店の新メニューを調べてちょうだい」

「あんなぁ、あんたは探偵をなんだと思っとるんや」

「依頼さえすればなんでも調べてくれる人」

「……都合の良い解釈やめいや。受ける依頼は選ぶて」

「あらそうなの?残念」

 そう言ったほまれでしたが、さほど残念がっているようには見えません。それどころか自身の鞄から新たな写真を取り出して言います。

「それじゃあ次の依頼ね」

 めぐりは眉をひそめました。

「先に聞くわ。いくつ依頼持ってきたん?」

「ざっと十個はあるわね」

「多いて。ほんで全部新メニュー調べとかなんやろ?」

「あら、よくわかってるじゃない!さすが探偵」

「探偵でなくても話の流れで察しつくわ。舐めとんのか」

 めぐりは深い溜め息をつきました。

 初めて会った時はまだ、どこにでもいそうな大人しい令嬢だったのに。

 めぐりは不意に、ほまれに関する記憶を思い返しましたが、すぐにやめてしまいました。

 なぜなら、思い出してしまったからです。

 ほまれは初めて会った時から、ただの大人しい令嬢ではなかったことを。

 皮肉には皮肉で言い返し、めぐりを見下した執事には解雇宣告をする始末。宣告に関してはめぐりの説得で思いとどまってくれましたが、そうでなくとも他の令嬢とは一線を引いた存在でした。

 一度は怪盗として探偵であるめぐりの前に立ちはだかることもありましたが、それでも親しさは失っていません。

「ちょっと、ループちゃん」

「ん?」

 ほまれからあだ名で呼ばれためぐりは、瞬時に我に返りました。

「なんや?ほまれはん」

「あたしとの話に集中してよ」

「あー、すまんな。あんたと過去にあったことが頭に浮かんでしもうて」

 正直に明かすと、ほまれは不思議そうな顔をしました。

「あらそうなの?どう?過去のあたしと今のあたし、何か変わった?」

「いや、なんも変わっとらんよ。見た目も中身も相変わらずやで」

「ふぅん」

 どこかつまらなそうな顔で相槌を打ったほまれに、めぐりは苦笑して言いました。

「うちと関わる前のあんたがどうやったか知らんのやから、変わってたとしても気づけへんよ」

「あ……確かに」

「それはそうとほまれはん、会う度に笑顔が増えとるな。ええことやで」

 その直後、ほまれはそっぽを向きつつ小声で言いました。

「あなたのそういうとこ、嫌い」

「ほぇ?」

 めぐりは思わず間の抜けた声を発しました。

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【大人向け童話】夢宮めぐりの、ほどけない話 チェンカ☆1159 @chenka1159

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