2 生き残った光はたったの7つ

後ろに意識を向けると、もうスライムは見えなかった。


「はぁ、はぁ、はぁ」


体力という概念がこの体にあるのかはわからないが、苦しくて視界がかすむ。体の光も弱くなっている。


生き残ったのは俺と、俺にくっついてきていた聖属性の低級精霊。そして各色一匹ずつだけ。


(あんなにたくさんいたのに、残ったのは俺含めて7匹か……)


元人間ではあるが、今の体は精霊。同種が喰われていく様は気分のいいものじゃなかったな。


俺がスキルを使って精霊たちを集めることがなければ、犠牲はもっと少なかったかもしれない。

異世界転生に浮かれて考えなしに動いてしまった…


すり。


精霊たちがすり寄ってくる。聖属性の精霊だけではなく、6色全員。


「……慰めてくれてるのか?ありがとう。」


この世界で生きていくには強くならなければいけない。

強くなるためには、やはりレベル上げ…


(無理だよな…)


魔法も使えない。剣も振れない。

そもそも、ステータスにレベルの項目がなかったし、レベルなんてものは存在しないのかもしれない。


今の俺たちにできることは…


(…隠れるしかないか)


幸い、低級精霊の体はかなり小さい。1センチとか2センチとか?だいたいそのくらい。


他の低級精霊たちは、ただふわふわと漂っているだけだからすぐ見つかるが、本気で隠れればそう簡単に見つからないだろう。


そのうえで、安住の地を見つける。いつまでも隠れて生きていくのはごめんだ。


(隠れながら森を探索して、安全に暮らせる場所を探す。これが第一目標だな。)


「……みんな、ありがとう。もう大丈夫だから一回離れて」


名残惜しそうに離れていく。


そういえば、他の精霊たちに比べて、この子たちは少しだけ感情が豊かな気がする。

それに、一匹一匹にそれぞれ個性も感じる。


例えば、緑の光はよく動き回って活発。逆に茶色はほとんど動かず消極的だ。


他の精霊たちと何が違うんだ?


(こういうときは…)


「鑑定!」


―――――――――――――――


【名前】 なし

【種族】 低級精霊(火)

【スキル】なし


―――――――――――――――


「で、できた!」


(異世界といえば鑑定!といっても、得られる情報は少ないけど…)


赤色の精霊は火属性か。まぁ、予想通り。

野良の精霊たちとの違いはなさそうだ。


ひとまず、全員に鑑定してみるか。



―――何もおかしなところはないな。いたって普通。


属性はそれぞれ、


赤(火属性)

青(水属性)

緑(風属性)

茶(土属性)

紫(雷属性)

白(聖属性)


といったかんじ。


名前もスキルも持っている子はいなかった。


「そうだ!名前つけよう!」


異世界でやってみたいことの一つ。名付け


「それじゃあ…」


まずは、ずっと一緒にいた白い光。


柔らかくて、温かくて、離れない。


「君は……セラだ」


セラは、ぴかっと一瞬だけ強く輝いた。

嬉しそう……に見えたのはきっと気のせいじゃない。


次に赤い光。


一番勢いがあって、すこし危なっかしい。


「火属性……イグニス」


青は、静かで、落ち着いている。


「アクア」


緑は、ふわふわしていて、周りをよく見ているように感じる。


「ヴェント」


茶色は、動かずにじっとしているが、妙に安心感があった。


「テラ」


最後に、紫の光。


他と少し違う、不思議な輝き。


「…ルミナ」


名前を呼ぶたびに、精霊たちは小さく、でも確かに反応した。


正直、名付けで進化したり、スキルを習得したり、何かしらの変化を期待していたのだが…


すり。

すりすり。


全員が俺の周りに集まってくる。


(喜んでくれてるみたいだし、どうでもいっか。)


「――生き延びるぞ。全員で」


その言葉に反応してみんなの光がより一層強く輝いた。

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低級精霊も積もれば神となる~最弱の俺がいつの間にか最強パーティの中心です~ 遖ナリ @ashitano-ashita

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