Under the “X”ea-Party♪【3】
「…………びっくりしたね~」
「ええ。でも、わかってくれてよかったわ」
「うん。でも、怖かったねぇ……」
招かれざる客の姿が完全に見えなくなってから、三人は口々に本音を零しました。
「ね~。……ってか、ごめん! その前にお礼言わないとだった! 庇ってくれてありがとね!」
「そうだったねぇ。本当にありがとう。キミが無事でよかった……。お礼遅れてごめんねぇ……」
「どういたしまして。気難しい人魚の対応なら、任せてちょうだい。伊達に外交で泳ぎ回ってないし。さっきの人はまだ話が通じるほうで、助かったわ」
薄橙に縞模様を持つ人魚は軽やかに笑いました。
彼女は、言語が通じても言葉の通じない者が沢山いる事を毎日のように実感していたのです。
「「かっこいい……!」」
「…………だけど、そんなにうるさくしちゃってたかなぁ。気を付けてたつもりだったんだけど。楽しいときって周り見えなくなっちゃうもんねぇ……。きっとうるさかったんだろうなぁ。悪いことしちゃったかも」
「うん。気を付けなきゃね。でも、この中でいちばんうるさいのうちだったと思うし、あなたはそんなに気にしなくていい気もするけど……」
「そんなことないよぉ」
「ああいうふうに思ってる人魚、他にも結構いるんだろうね〜。わざわざ泡にしない(※)だけでさ〜……」
(※『泡にする/しない』……陸での『口にする/しない』に対応する慣用句。人魚たちが喋ると気泡が生まれることから、誰かが言い出したのが由来。海の世界においては、陸と違い『飲食をする』という意味はない。)
「………………」
二人の人魚が反省会をしているあいだも、薄橙に縞模様の人魚はひと言も発さず。
「どうしたの? やっぱり怖かったよね? うち、役立たずで……ほんとごめん……」
「あ……ううん。大丈夫よ。ただ、最後の言葉が気になって」
不安に思った黒地に水色の水玉模様の人魚が話しかけると、彼女は慌てたように首を左右に振りました。
「『悲しいなら、悲しい顔してやがれ』……とかって感じの捨て台詞?」
「ええ。あたしたち、災害に遭って逃げてきているでしょう? そういう可哀想な目に遭った人魚たちには、いつまでも悲しそうにしていてほしいって
「なにそれ。ありえない……」
「ひどい話だねぇ……」
黒地に水玉の人魚は憤慨し、六角形を浮かべた人魚は泣きそうな顔をします。
「ええ。あたしたちのお喋りが気に障ったのは事実なんでしょうけど、あの人もそういう手合いだった気がするわ」
「うへぇ、って感じだねぇ」
「本当に『うへぇ』よ」
「この辺もだいぶ排他的な地域だからしょうがないけど、思ってたとしても表に出すのはちょっとね〜……」
「だねぇ。まぁ、あんな不届き者の事はそれくらいにして、話の続きしない?」
「するする〜! えっと、確か…………」
「「『すらっとした人魚のカレ』について聞いたところ!」」
二人は怒りも悲しみも最初から感じていなかったかのように、一番の功労者に期待の眼差しを向けました。
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