遊園地

 「お嬢様! 今日は遊園地デートしましょう!」

「デートじゃないならいいわ」

ニーナは立ち上がる。

「来てくださるんですね! 私と遊園地デート!」

「デートのつもりなら行かないわ」

「わあ⁉ た、大変失礼いたしました! デートではありません! その、えっと、遊びと言いますか……そのぉ……」

クラウドが少し涙目になる。

(クラウドって顔はいいんだから……)

「はあ、仕方ないわ。行くけどデートじゃないから」

「かしこまりました!」

クラウドが先ほどとは打って変わって満面の笑みで答えた。


 「お嬢様、お嬢様! どれに乗りますか?」

ニーナはクラウドの弱点を知っていた。

「ジェットコースターに乗るわ」

「⁉」

クラウドはジェットコースターが苦手なのだ。

「お、お嬢様……? も、もう少しおしとやかなものはどうでしょう……?」

「あら文句があるのかしら」

「い、いえ、無いですけど……」

クラウドは今にも泣きだしそうな顔をしている。

「ほら、行くわよ」


 ジェットコースターが発車のベルを鳴らす。緊張でクラウドは冷や汗を流している。

「緊張しすぎよ」

「し、しかし……」

そう言っている間にジェットコースターが発車してしまった。

「うわああああああああ!?!!?」

クラウドが悲痛な叫び声をあげる。終わった頃にはぐったりとしていた。

「うぇ……」

「楽しかったわ。じゃあ、次はお化け屋敷に行きましょう」

「⁉」

クラウドはホラーも苦手なのである。


 「ぎゃああああああああ!?!!!??!?!」

遊園地内に響き渡るクラウドの叫び声。ニーナは普段、聞けないクラウドの叫び声を聞けて大満足だった。


 後日、クラウドはその思い出話をミリアムに話していた。

「お嬢様は勇敢でした! あのゾンビたちを殴り倒す姿! 大変麗しい!」

「わあ、パークの人たちに大分、迷惑をおかけしたんですね。後で謝罪に行かなければ! それにしても意外です。クラウドさんはジェットコースターとホラーが苦手なんですね。全然そんなイメージなかったです」

「そうですか?」

「万能執事で怖いものなしの不老不死だと思ってました」

「それ、もう人間じゃないですよね?」

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ヤンデレ執事は今日もお嬢様を追いかける 星紫 @iiyo123123

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