お願い

 「お嬢様~!」

「あら、クラウド、どうしたの」

「これから出かけなければならないのです……」

「そう。嬉しいわ」

「なんとことを言うんですか! 私の胸は悲しくて張り裂けそうです……」

「そのまま死んでくれればいいのに」

クラウドはガーン、とした顔でニーナを見る。そして泣き出した。

「お嬢様もミリアムさんもひどいです! どうして私にそんなに死んでほしいんですか……!」

「嘘泣きがお上手なようで」

「嘘じゃありません! お嬢様!」

クラウドはがばっと顔を上げた。

「何かしら?」

「お嬢様、お願いがあります! どうか、私にいってらっしゃいのキスを」

「ふん!」

ドゴッ、と音を立ててクラウドが吹っ飛ぶ。ぼたぼたと鼻血がたれる。

「随分と強いスキンシップですね! それではいってきます、お嬢様!」

笑顔で去っていくクラウド。そんなクラウドを見ながらニーナは思う。

(ああいうのをおめでたい頭だと言うのね)


 「お嬢様~! ただいまです!」

「お帰りなさい。そしていってらっしゃい。次は二度と帰ってこないでね」

「まあまあ、そんなこと言わないでくださいよ! 今日はついでに手帳とカメラを買ったんです! これでお嬢様の情報を集めます!」

「それを渡して。今日は休みなさい」

「ありがとうございます!」


 「お嬢様。私の手帳とカメラを知りませんか?」

「知らないわ。ミリアムさんに聞いて」

「分かりました」


 「ミリアムさん、私の手帳とカメラを知りませんか?」

「どのようなものなのですか?」

「手帳はピンク色なのですが」

「それなら今頃、ゴミ収集車が持っていきました」

「ええ⁉ ま、待って~!」

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