文句

 「お父様。入っていいかしら」

「ああ」

中に入ると父が立っている。

「文句を言いに来たのですけれど」

「クラウド君のことかね?」

「ええ」

「アイツにはこちらも手を焼いていてね。はあ、どうしてお前に執着してるんだ? 何か心当たりは?」

「何もないわ」

「そうか」

「それだけじゃないのよ」

ニーナは父親に向かって言った。

「他に文句があるのか?」

「もちろんよ」

ニーナはマシンガンのように早口で言った。

「お父様、私が犬アレルギーなの知ってるかしら? なぜお屋敷で犬を飼っていらっしゃるの? それとクラウドのこともよ。わたしがアイツを嫌いなの知ってますわよね? それなのにそうしてクラウドは私の部屋までたどり着けたのかしら。これはお父様の責任でもあるわ。いっそのこと損害賠償を払ってもらいたいのですけども。そんな無責任だからお母様に逃げられたのよ? もう少し責任をもっていただきたいですわ」

父親がたじろぐ。そんな様子を窓からクラウドが覗き込んでいた。それを目撃する、メイドのミリアム。

「クラウドさん、何をしているんですか?」

「情報収集です」

「お嬢様はあなたのことを嫌いだとおっしゃっていましたけれども」

「そちらの方が燃えます」

「わあ、気持ち悪い!」

「もう少しオブラートみ包んでくれます?」

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