第47話 守られる側から守る側へ




ギルドの

医務室は、

静まり

返って

いた。




消毒薬の

匂いが

薄く

漂う。




アレンは、

簡易

ベッドに

腰掛け、

腕の

傷を

確認して

いた。




すでに

傷口は

塞がって

いる。




痛みも

ない。




だが、

記憶は

鮮明だ。




短剣の

冷たさ。




殺意の

重さ。




「……本当に

 平気なの?」




マールが、

小さな

声で

尋ねた。




「はい」




アレンは

頷く。




「身体は

 問題

 ありません」




「……身体、

 ね」




その

言葉に、

アレンは

少し

黙った。




心の

整理は、

まだ

終わって

いない。




シャールが

入って

くる。




「証言者は

 隔離区画へ

 移した」




「護衛も

 二重だ」




「しばらくは

 安全だろう」




だが、

完全では

ない。




「……俺にも

 護衛を

 付けますか」




アレンの

問いに、

シャールは

首を

振った。




「お前は

 断るだろう」




図星。




「守られる

 立場に

 慣れるな」




「だが、

 無謀にも

 なるな」




矛盾した

忠告。




しかし、

真理でも

あった。




その日、

アレンは

外出を

制限された。




ギルド

内部での

待機。




任務は

ない。




だが、

暇では

ない。




「……証言内容を

 整理しよう」




魔物操作。




笛。




魔力誘導。




共通点は、

外部からの

干渉。




アレンは、

魔力の

流れを

紙に

描く。




ヒーラーだから

こそ、

分かる

歪み。




「……やっぱり、

 強化と

 同系統だ」




※系統魔法

→ 魔力の

 性質ごとに

 分類される

 技術体系。




回復と

強化。




そして、

操作。




同じ

基礎から

派生して

いる。




「……だから

 止められた」




自分の

力が、

偶然では

なかった

ことに、

背筋が

伸びる。




夕方。




隔離区画から

連絡が

入った。




「……証言者が、

 再度

 話したい

 そうだ」




シャールの

判断で、

短時間の

面会が

許可された。




部屋の

中。




証言者の

男は、

落ち着いた

様子で

座って

いた。




「……助けて

 くれて、

 ありがとう」




「当然の

 ことです」




男は、

深く

頭を

下げる。




「……俺は、

 守られる

 だけの

 存在だと

 思ってた」




「でも、

 あんたは

 違う」




「守る

 側だ」




その

言葉が、

胸に

響く。




「……俺は、

 逃げてた」




「だから、

 今度は

 全部

 話す」




追加の

証言。




名前。




研究組織の

通称。




資金の

流れ。




点が

線に

なり始める。




面会後、

アレンは

一人、

中庭に

出た。




夜風が

心地

よい。




昔の

自分を

思い出す。




ルンバ村。




守られる

だけの

子ども

だった。




怪我を

すれば、

大人に

治して

もらった。




「……立場が

 変わった

 んだな」




今は、

自分が

前に

立つ。




傷つく

可能性を

承知で。




それでも、

守りたい

ものが

ある。




「怖く

 ないわけ

 じゃない」




だが、

逃げる

理由には

ならない。




マールが、

中庭に

出てきた。




「……無茶

 しないで

 くださいね」




「約束

 します」




嘘では

ない。




無茶と

覚悟は

違う。




アレンは、

星空を

見上げた。




中位ランクの

世界で、

自分は

まだ

小さい。




だが、

立つ場所は

選んだ。




守られる

側から、

守る側へ。




それは、

力の

問題では

ない。




意志の

問題だ。




アレンは、

静かに

歩き出す。




次の

役目へ。




ヒーラーとして、

冒険者として。

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